「舞姫」を批判する男はモテるのか?

森鴎外の短編「舞姫」は、教科書に掲載され、鴎外の作品の中で最も人口に膾炙したものだろうが、エリートの男が留学先で女を身勝手に捨てるという不道徳な内容から、発表当初より批判があり、また鴎外本人の身に起きたことを小説化していたため、小説・作家…

ノーベル文学賞はポルノがお嫌い

小谷野敦の新刊『純文学とは何か』の冒頭だけを立ち読みしたのだが、そこに「村上春樹はなぜノーベル文学賞をとれないのか」とマスコミからよく聞かれると書いてあって、「通俗小説だから」というのが小谷野の答えで、モームやグレアム・グリーンがとれなか…

本当は怖い文学史

文学史関係の本を読んでいると、気がつくことが一つある。それは、文学史というのが、作品の良し悪しというよりも、いわゆる「ゴシップ」の集積で出来ているということだ。文学史につきものの「論争」に関しても、そこに行きつくまでに、複雑な人間関係を経…

能年玲奈は何になりたいんだろう

たまに、能年玲奈のニュースを目に入れると、「この人は何になりたんだろう」と思うことがある。彼女が事務所と揉めて、干されたと話題になった時、ファンは女優業の継続を願っていた。その後、アニメ映画『この世界の片隅に』で声優を務め、口コミで映画が…

DVD化してほしい映画たち

少し前に、テレビで放映予定の未DVD化作品をツイートするツイッター・アカウントを作った。未DVD/廃盤/レア映画を観る方法 (@rare_movie) | Twitter 衛星放送に加入していれば、結構未DVD化作品を観ることができる。特に、東映チャンネルとかザ・シ…

クレイグ・ブロンバーグ 『セックス・ピストルズを操った男 マルコム・マクラーレンのねじけた人生』

マルコム・マクラーレンといえば、セックス・ピストルズを作った男であり、パンクを金になるメイン・カルチャーにまで押し上げた男だ。しかし、これほど毀誉褒貶が激しい人間もそういない。彼と仕事をした人間は、例外なく彼を嫌う(ジョン・ライドンとは裁…

批評と流行

マニア=オタク=批評家がにわかファンを駆逐し、流行していたものを衰退させる、という意見があるが実際は違うと思う。本当に人気のある物に対しては、批評家は完全に無力である。 例えば、ローリング・ストーンズやポール・マッカトニーには、ものすごい知…

ダメ人間が集まるサークルにも入れないダメ人間

ザ・ノンフィクション「会社と家族にサヨナラ・・・ニートの先の幸せ」を見た。 僕のツイッターのタイムラインでは、「あそこに出ている人たちは世間が想像するようなニートではなく、一般的な社会性はないが、何らかの異能を持った人たちの集まりだ」という…

ジャンキーの大部分は、隠れロマンティストだ、とアーヴィン・ウェルシュは書いた

アーヴィン・ウェルシュの小説『トレインスポッティング』には、マッティという名のエイズに感染したジャンキーが出てきて、彼は小説の終盤、トキソプラズマ症が原因の脳卒中で死ぬ。二十五歳という若さだ。マッティは下手なギタリストで、恋人のために恋の…

キネマ旬報特別編集 『オールタイム・ベスト 映画遺産200 外国映画篇』

本書は、『キネマ旬報』創刊90周年ということで企画され、2009年に刊行された。巻末にはキネマ旬報と関わりの深い会社の社長の名刺がずらずらと並べられている。 オールタイムベスト企画では、キネ旬以外だと映画秘宝のものが有名だが、人選はやはりキ…

日本文学は海外からどう見られているか!?

日本人は、海外(西洋人)からどう見られているか、ということをよく気にしている。テレビではかつての『ここがヘンだよ日本人』のような過激な物から、『YOUは何しに日本へ?』のような温和な物まで、外国人の視点を意識した番組が作られ、出版界隈では、『…

DVD化を望む映画リスト

DVD化して欲しい映画リスト。文藝物中心。 ウィリアム・フリードキン監督 『恐怖の報酬』アンリ=ジョルジュ・クルーゾーの同名作品のリメイク 『誕生パーティー』ハロルド・ピンター原作 『ソニーとシェールの グッド・タイムス』ソニー・ボノ、シェール…

ウディ・アレンの変身願望とマゾヒズム

1 序論──僕をメンバーにするようなクラブには入りたくない 一九七七年に公開された映画『アニー・ホール』の中で、ウディ・アレン演じるコメディアン、アルヴィ・シンガーが発した「僕をメンバーにするようなクラブには入りたくない」という自虐的ジョーク…

ブルース・ポリング 『だからスキャンダルは面白い』

タイトルを見て気になり、図書館になかったのでAmazonで買ったのだが、正直、期待外れの一冊だった。 文庫本で460ページほどの厚い本で、目次を見ると、「バイロン卿の危険な情事」、「H・G・ウェルズの悪い癖」、「グレアム・グリーンの筆禍騒ぎ」など、…

デュウェイン・ホージー 『ワルが目醒めるとき』

君はホージーを覚えているだろうか? あの、97年から98年にかけてヤクルトにいた「面白助っ人外国人」のホージーである。キャンプ中から野村監督に酷評され、まったく期待されていなかったのが、シーズンが始まると予想外の大活躍。結果的に松井を破りホ…

翻訳・新訳してほしい本

俺が読んでみたい本を選んだ。小説と作家の伝記が多い。 並びは単純なあいうえお順。 フィクション・エッセイ・詩 アプトン・シンクレア The Moneychangers 作者: Upton Sinclair 出版社/メーカー: David De Angelis 発売日: 2017/08/08 メディア: Kindle版 …

遠藤周作とグレアム・グリーンの「二重性」

グレアム・グリーンが遠藤周作の小説を称賛したことはよく知られている。二人にはカトリックという共通点があり、彼らの小説を語る際には、よくそのことが言及される。 カトリックであるということ以外に、二人を結び付けている共通点がもう一つある。それは…

野村克也と沙知代のコンプレックス

『球界のガン・野村家の人々』という本を読んだ。あの悪名高い鹿砦社から出版された物だ。中身は、南海時代のスパイ野球疑惑、ヤクルトにおける内紛、野村沙知代の横暴といったことが、書かれている。 ミッチー・サッチー騒動の時は、まだ小学生だったので、…

『アル・パチーノ』 アル・パチーノ ローレンス・グローベル

アル・パチーノは俳優として優れているというだけでなく、アメリカ文化においても重要な存在だ。『狼たちの午後』、『セルピコ』、『ゴッドファーザー』三部作、そして『スカーフェイス』といった作品を抜きにして、アメリカのポップ・カルチャーを語ること…

フロイト/精神分析にハマる人の特徴

橋本治が『蓮と刀』の中で、フロイトの「理論」というのは、実はフロイト自身の性格が色濃く反映されているのだ、というようなことを書いていて、そうした観点から『ドストエフスキーと父親殺し』などを分析しているのだが、フロイトや精神分析にハマる人も…

川本三郎 『スタンド・アローン』

たまたま昔の書籍に入っていた広告を見て気になり、読んでみたのだが、これが抜群に面白かった。「今世紀初頭(20世紀)から現在まで、映画、文学、スポーツ、音楽などの分野で独自の世界を築いた個性的な男たち23人のミニ・バイオグラフィー」というの…

ロン・ローゼンバウム 「ドナルド・トランプって結構いい人だ」

かつて、東京書籍が「アメリカ・コラムニスト全集」というシリーズを企画していて、トム・ウルフやポーリン・ケイルの批評的エッセイ集等がその中に組み込まれていた。 この前、図書館でそのシリーズの中の一冊、ロン・ローゼンバウムの『ビジネス・ランチを…

野球選手とメディア

日本ハムファイターズが優勝した。 ファイターズ・ファンの俺としては嬉しいことだ。 そんな中で気になったのは、メディアの注目が大谷へと異常に集まっていることだ。ニュース記事はもとより、試合中も幾度となくベンチにいる大谷にカメラが向けられた。鼻…

フィリップ・ロス原作映画ヒット祈願

今年はフィリップ・ロス原作の映画が二本も公開される。一本はIndignationで、監督は『ハルク』や『ブロークバック・マウンテン』のプロデューサーを務めたジェームズ・シェイマスだ。これが初監督作となる。シネマトゥデイによれば、内容は以下の通り。 195…

オルギア視聴覚室

昨日、池袋のシアター・グリーン(BASE THEATER)で開催された「オルギア視聴覚室」という演劇イベントを観に行った。ツイッターでフォローしている人たちが関わっているということと、小劇場的なものを体験してみたかった、というのが観劇のきっかけである…

遠山純生編 『映画監督のお気に入り&ベスト映画』

ツイッターでフォローしている人がこの本に言及していたので、図書館で借りてみた。 中身は、評論家がタランティーノやウォン・カーウァイの映画遍歴について書いたものや、エリック・ロメール、キアロスタミといった有名監督が映画について書いたエッセイの…

秋津弘貴 『プロ野球記者会にいると絶対に書けない話』

ジャーナリストの秋津弘貴が『月刊リベラルタイム』に連載していた野球コラムを加筆し、まとめたのが本書である。中身は、「愛すべきスーパースター「長嶋茂雄」」、「名伯楽「仰木彰」の伝説と遺産」といった過去に焦点をあてたものから、「日本一「中日ド…

金村義明 『80年代パ・リーグ 今だから言えるホントの話』

金村義明と言えば、タレント兼野球解説者として、バラエティ番組などでもよく見かけるが、本書はそんな彼が文字通り「80年代パ・リーグ(一部90年代ネタもあり)」について面白おかしく語ったものだ。 テレビでも近鉄時代の裏話についてはよく喋っている…

育てたいという欲求

今、楽天では梨田監督がオコエを連日スタメンに起用しているけど、ここには梨田の「育てたい」という欲求があると思う。チーム状況的に、オコエがスタメンになってもおかしくはないんだけど、枡田、島内、牧田、聖沢といった中堅クラスの選手がいるなかで、…

愛甲猛 『球界のぶっちゃけ話』

印象としては『球界の野良犬』の姉妹編というか、落穂拾いといった感じ。あっちは自伝的な色合いが強かったけど、こっちは球界全体の話になっている。 例えば、第一章「暗黙のルール」では、ベンチ内における人間関係について触れている。愛甲によれば、選手…