ラブホテルのスーパーヒロイン④

2 実践編 私には夢がある。特撮ヒロインのコスプレをした女とセックスしたいという夢が。しかし、それを頼むための彼女はいないし、コスプレをメインにしたいわゆる「イメクラ」と呼ばれる風俗も、女子高生とか女医とかOLとかありきたりなものばかりだっ…

ラブホテルのスーパーヒロイン③

レッド・ルーフの作品を初めて購入したのは、多分高校二年ぐらいだっただろうか。それまでは、サイトのサンプルとかYouTubeやエロサイトに違法アップロードされた数分程度の断片しか観られない、食べ飽きたオカズを強引に消化するような不満足な日々を過ごし…

ラブホテルのスーパーヒロイン②

家にパソコン(ウィンドウズ95)とインターネットが導入されたのは、俺が五年生の時で、祖母が仕事でeメールを使うためだった。当時のダイヤルアップ接続は、定額制ではなく、速度もカタツムリのように低速で(おまけに、不穏な電子音まで鳴り響く)、家族…

ラブホテルのスーパーヒロイン①

──ところがねえ! どうしてもあの人に言う度胸が出ない、おかしな願いがあるんだと言っても、あんた信じてくれるかしら? ──あたし、あの人が、医療器具入れをもって、上っぱりを着て、ちょっとぐらいその上に血がついたままで、会いに来てくれればいいなあ…

マット・コリショー 爛熟した美の世界

日本では90年代にサブカルチャーの領域で、死体、犯罪、ドラッグ、過激な性表現といったものを、倫理や罪悪感から切り離し、時には肯定的にも扱う、いわゆる「悪趣味」文化というものがあった。現在、その功罪についてよく語られるようになったが、同じ時期…

藤森安和 『15才の異常者』

大江健三郎の「政治少年死す(「セヴンティーン」第二部)」は、1961年『文學界』2月号に掲載されたが、右翼の抗議にあい、出版社側が謝罪したため、2018年7月に『大江健三郎全小説3』に収録されるまで、長らく単行本未収録の封印作品となっていた。 実は、…

中上健次が選ぶ150冊

中上健次の没後出版された『現代小説の方法』という本は、彼の講演をまとめたものだが、最後におまけのような形で、「中上健次氏の本棚──物語/反物語をめぐる150冊」という章があって、中上が選んだ150冊の本のリストが載っている。元々は、1984年に、「東…

Apple Musicのひどい不具合

Apple Musicの会員になってから半年ぐらい経つが、不満なことが一杯ある。アレがあるのにコレがないみたいな、曲数についての不満も当然あったりするが、一番イライラするのは、技術的な問題だ。ちなみに、使っているiTunesのバージョンは、12.9.3.3である。…

サイモン・ブラウンド編 『幻に終わった傑作映画たち』

キューブリックの『ナポレオン』、オーソン・ウェルズの『ドン・キホーテ』、 アレハンドロ・ホドロフスキーの『デューン/砂の惑星』、デヴィッド・リンチの『ロニー・ロケット』……。完成することなく幻に終わった映画は、「幻」であるがゆえに、魅力的であ…

J・D・サリンジャー 『ハプワース16、1924年』

サリンジャーが雑誌などに発表した短編小説の中には、本人が後に単行本化するのを拒否したため、封印状態になったものがいくつかある。例えば、『ライ麦畑でつかまえて』の原型となった、「マディソン・アヴェニューのはずれでのささいな抵抗」や「ぼくはち…

板東英二 『プロ野球 知らなきゃ損する』

野球選手も人間である。人間であるからには、金・女・嫉妬といった俗世間のしがらみから簡単に逃れることはできない。いや、むしろ彼らはそういったものに、人一倍敏感にならざるをえない環境に身を置いているとも言える。オフシーズンになれば年俸が話題に…

いいね!5未満の男によるペアーズ印象記

吉原真理の『ドット・コム・ラヴァーズ』を読んだ。だいぶ前からいつか読もうと思ってタイミングを逃し続けてきたのだが、数か月前から自分がペアーズをやるようになったので、ちょうど良い機会だと思い、手を伸ばした。 『ドット・コム・ラヴァーズ』は、ア…

みにくいアヒルの子症候群

本屋にいくのがつらい。本屋に行くと、自分と同世代、もしくは年下のライターとか作家とかミュージシャンとかが華々しく活躍しているのが嫌でも目に入るからだ。そして、いつまでもくすぶっている自分が悲しくなってくる。誰かの書評とか読んで、「俺の方が…

三島由紀夫が旅行記に書かなかったこと

先月、「右翼」の三島由紀夫が初の岩波文庫入りということで、話題になった(まあ、海外の著者なら、既にエドマンド・バークとかも入っているが)。中身が旅行記だったので、特に興味もなかったが、水声社のヘンリー・ミラー・コレクション『対話・インタヴ…

作家の性癖

人が自分の性癖を意識するのは何歳ぐらいからだろうか*1。個人的な経験から言わせてもらえば、小学校にあがる前、大体五歳ぐらいの時には、変態的な「エロ」を認識していた(詳しくは「童貞と男の娘」を読んで欲しい)。頭で自分の性癖を理解していたという…

パリス・ヒルトンをディスった時のバンクシーはダサかった

バンクシーが自分の作品をオークション会場でシュレッダーにかけた事件は、わりと賛否両論だった。ハフィントン・ポストの記事にもあるように、このアクションによって、バンクシーの作品の価値は、シュレッダー以前よりも高まることになった。つまり、バン…

童貞と男の娘③

大阪を離れてから二日後の月曜日、俺は歯医者に行く予定があった。右下の奥歯の真下に、良性の腫瘍があって、それが大きくなっていないか確認するため中学生の頃から毎年レントゲンを撮りに行っているのだが、その日の朝起きると、かなり具合が悪かった。前…

童貞と男の娘②

動物園前駅から梅田駅に着くころには、ちょうどホテルのチェックインの時間が近づいていた。ホテルは阪急梅田から徒歩10分程度のビジネスホテルを予約していた。ここならエメラルドにも歩いていける。部屋は、ベッドがスペースの半分を占拠しているような狭…

童貞と男の娘①

まったく奇妙な夜だった。一日かそこらすれば、疼き出すのではないか。さまざまな心配。急いで馳けつけるアメリカン・ホスピタル。黒い葉巻をくわえたエールリッヒ博士の幻が、幾重にもダブって見えてくる。異常はないのだろうか。取り越し苦労なのだろうか…

ネルソン・オルグレンと寺山修司の出会い

ジル・クレメンツが作家たちを撮ってまとめた、『ライターズ・イメージ』という写真集を見ていたら(ちなみに、クレメンツの夫はカート・ヴォネガットで、この写真集の序文もヴォネガットが書いている)、ネルソン・オルグレンのところで、気になるものがあ…

東京電力の社員を名乗る泥棒

家に泥棒が入った。泥棒を入れたのは家族だった。 水曜日の午前11時頃、俺が会社に行っている間、家に「東京電力の検査員」を名乗る小太りの中年男がアポなしでやってきたらしい。男は作業着姿で、社員証らしきものを首から下げ、腕に腕章を巻いていた。 家…

ジュリアン・テンプル 『ザ・グレイト・ロックンロール・スウィンドル』

ジョン・ライドンが、アメリカ・ツアー中だったセックス・ピストルズのサンフランシスコ公演で、「騙された気分はどうだい?」と観客に吐き捨て、ツアー日程が残っていたにもかかわらず、そのまま脱退したのは有名な話だ。ピストルズのライブでは、興奮した…

ウンコをもらしかけた

先週の金曜日、ウンコをもらしかけた。 家を出る直前、腹に少し違和感があって、「あ、トイレ行っとけばよかったかな」と思ったのだが、まあ大丈夫だろうと家を出、電車に乗った。最寄りが始発駅だから、乗換駅に着くまでいつも寝ているのだが、腹の中で渦潮…

遠藤周作 vs 三島由紀夫──サドを巡って──

縄張り争いというのは、あらゆる生物に共通する、最もポピュラーな戦いの一つだ。また、縄張りは、物理的な物に限らず、例えば同じ分野の研究者同士が途轍もなく仲が悪かったりする。作家にしても、関心領域が近いと、争いに発展しやすい。 ただし、作家同士…

中上健次と「文壇」

「文壇」というものを体現していたのは中上健次が最後だ、ということはよく言われる。それは、中上が俗に文壇バーと呼ばれる場所で大いに暴れ、そして、その行為自体が一つの「批評」として受け止められていたからだ。角川書店時代に中上と付き合いのあった…

小林秀雄の暴力性

昭和の文壇で作家に最も恐れられた批評家といえば、小林秀雄だろう。とは言っても、彼について書かれた様々なエピソードを読む限り、その恐ろしさは、あの論理の飛躍した文体の持つカリスマ性だけでなく、もっと直接的な「暴力」によっても支えられていたの…

ソール・ベロー 『ラヴェルスタイン』

ソール・ベローの小説は大学時代に『その日をつかめ』を読んで感動し、以来翻訳されたものは全て読んだが、『その日をつかめ』以外はどれも面白いとは思えなかった。ベローの小説のおおまかな特徴として、衒学的な比喩を駆使した文体、形而上学的考察、知的…

ペアーズで最も女性人気のある作家は誰だ!

先日、あまりにもモテないのでとうとうペアーズに登録してみた。実際に使うのはもう少し先にしようと思っているが(プロフィール使える他撮りと金がない……)、無料会員でもコミュニティは覗けるので、偵察がてら色々見てみた。ちなみに、ペアーズをやってい…

Amazonに登録されていない角川文庫の海外文学

角川文庫のイメージと言えば、やはり「読んでから見るか 見てから読むか」というキャッチコピーに代表されるように、『人間の証明』、『戦国自衛隊』などの、映画と連動した作品が最初に思い浮かぶ。今でもこの路線は続いていて、東野圭吾とかが森村誠一的な…

高崎俊夫 『祝祭の日々』

インターネットで蓮實重彦とかやや古めの映画・小説について調べている時に、よく出てくるページがあって、それが高崎俊夫の「映画アットランダム」だった。多分、最初に目にしたのは、「スーザン・ソンタグと蓮實重彦の微妙な対話」で、恐らく「映画アット…