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ウリ・エデル 『ブルックリン最終出口』

洋画

 ドイツ人映画監督ウリ・エデルが、ヒューバート・セルビーJrの『ブルックリン最終出口』を原作に、1990年に発表。監督としては、『クリスチーネF』に続き2作目である。

 舞台は1952年のニューヨーク、ブルックリン。冒頭から、チンピラたちが、酔っぱらったアメリカ兵を、ぼこぼこにするというただならぬ雰囲気。ここは、ブルックリン。町を支配するのは法ではなく、力なのだ。町はスラムと化していて、ありとあらゆる人間の掃き溜めとなっている。労働者たちは長きに渡りストを起しているが、会社側がなかなか折れず、不満が今にも爆発しそう。チンピラたちは、数人で徒党を組んで、手当たり次第に暴行を繰り返す。女は、娼婦ばかりで、おかまたちは、相手を探し夜な夜な徘徊する。善人は皆無。誰もが、安い犯罪に手を染めて、行き当たりばったりの生活を送っている。ブルックリンに未来はない。

 構造的には、群像劇に近いが、場所はほとんど動かない。ブルックリンからは、誰も出ることができないからだ。外の世界があることを、ほとんどの人間が認識していない。酒と麻薬に溺れ、うらぶれた生活に妥協している。

 町が安い狂乱に酔いしれている中、スプークというバイク好きの少年だけが、イノセントを抱えて生きている。彼は娼婦のトララに恋をしているが、ほとんど相手にもされない。トララは、一旦はカモにした兵隊に恋をするが、彼はすぐさま朝鮮へと旅立ってしまう。自暴自棄になったトララは、酒場で酩酊し、レイプされる。ぼろぼろになったトララを、スプークだけが、優しく抱きかかえる。

 一方、工場では経営者側によるスト破りが行われる。深夜、労働者と警官は、激しく衝突。物語において、最高潮の盛り上がりを見せる。善と悪が、はっきりするのはこの場面だけだろう。

 映画は、ヒューバート・セルビーJrの原作にかなり忠実に沿っている。ダーレン・アロノフスキーが監督した『レクイエム・フォー・ドリーム』もセルビーの原作だが、共通点はかなり多い。2作とも、レイプとドラッグが大きな山場を演出しているし、ブルックリンの荒みきった日常に光があてられている。『レクイエム・フォー・ドリーム』は鬱映画として、有名になったが、『ブルックリン最終出口』はまだ若干の希望がある。しかし、それもいつまで続くかは誰にもわからない……

 

ブルックリン最終出口 [DVD]

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