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トム・ウルフ 『そしてみんな軽くなった』

海外文学 評論

 『現代美術コテンパン』、『虚栄の篝火』などで知られるトム・ウルフが、1970年代という時代について独自の視点から抉ったエッセイ集。冒頭の「夜空のキンタマ」(原題は"Stiffened Giblets")と題されたエッセイ以外は、数ページ程度の短い文章で構成されており、時折ウルフの書いたモノクロのイラストが挿入される。本書では、長い論理的なエッセイよりも、「ディスコ」や「ウディ・アレン」について数十行で皮肉ったものの方が、毒がはっきりしていてはるかに切れ味がよい。例えばこんな感じである。

 

 ウディ・アレンは1970年代型ハリウッド人の見本だ。まず、ニューヨーク人だし、「ハリウッドなんか知らんね」と上流ボヘミアン風に澄ましているし、ハリウッド人の社交場のポロ・ラウンジには夜警さながらのパンツとケッズのバスケット・シューズをはいてでかける。念のため言っとくが、今日の映画界では、スーツにシャツにネクタイ姿の人間はどこかの銀行かどこかの盗難予防自動警報器会社の社員と勘違いされるのが落ちなんだよ。(青山南訳)

  

 勿論、テーマによっては短すぎて物足りないものもあるし、アメリカの事情に通じていないと上手く読み解けない物もあるが、特に気負って読む物でもないので、暇な時にぱらぱらとめくる分にはちょうど良いのではないだろうか。ちなみに、俺のオススメは「亭主の危険信号九ヶ」。

 

そしてみんな軽くなった―トム・ウルフの1970年代革命講座 (ちくま文庫)

そしてみんな軽くなった―トム・ウルフの1970年代革命講座 (ちくま文庫)