『ロッキング・オン』の架空インタビュー
72年に創刊された『ロッキング・オン』は、当初、アーティストからのインタビューがとれなかったために、苦肉の策として「架空インタビュー」を掲載するという反則技を展開していた。文字通り勝手に相手の発言を作り上げるわけだが、僕自身実物を見たことはなかった。それが、『ロッキング・オン』2009年10月号に再録されていたので、見てみよう。相手はジミー・ペイジ(という設定)。
R(ロッキング・オン) 音楽は好きですか?
J(ジミー・ペイジ) わかりきったことをあらたまってきくもんじゃないよ。私は、音楽の役割的限界を自覚しているミュージシャンであるにすぎない。私は、音楽を、それほど好きではない。私は、ロバートや、ジョン(ボーナム)のようなバカがいたからたすかっていたにすぎないのです。
R というと、ロックも?
J そうです。ロックの中にも、ブルーズのよからぬ面は必然的に入っているのです。いずれにしても、状況の産物にすぎないのです、ロックも。
(中略)
R 革命をどう思いますか?
J 現状的結果をみてもわかるとおりソヴィエトも中共も、あれはちっとも革命ではありません。つまりあれは、またあらたな諸関係が形成されたにすぎず、ちっとも革命ではない。たぶん、中共の若者にも、ロックンロールはだめだろうけど、本格的なヘヴィ&ハードなロックは気に入られるだろう。もしきかせれば。
1974年2月号に掲載されたものだが、革命云々のところが、「時代だなぁ」という感じ。実際、ペイジがソヴィエトについて何か言ったことはあるのだろうか。
R もう一度日本に来てくださいよ。ぼくらは金払いますよ。
J でも、もう、たっぷりもうけたしねえ。しかし、半日がかりくらいの、ツェッペリンだけの、非常に厳粛なコンサートをやってみたいね。三千人くらいの小ホールで。ボー・クォーターとか、5マイ目のアルバムのような感じで。ところでロッキング・オンには女の子はいないのですか?
R いませんな。とくに貴方好みのカワイコちゃんはいませんな。
J じゃあ、おそらくロッキング・オンは売れてませんね。
R その通りですよ。ミュージック・ライフは売れてますよ。あそこの編集は女の子ばかりですからね。
革命を語っていたかと思ったら、下世話な話題に(笑)。「架空インタビュー」は読者からの人気が割合高かったらしいけど、こういう緩急のつけ方が受けたのだろうか。
rockin'on (ロッキング・オン) 2009年 10月号 [雑誌]
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