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fIERHOSE 『lowFLOWs: The Columbia Anthology ('91–'93)』

 fIREHOSEとは、Minutemenのギタリスト兼ヴォーカリスト、D・ブーンが交通事故で死んだ後に、残されたメンバーが、新たなギタリスト兼ヴォーカリストを加えて結成した3ピースバンドだ。

 Minutemenの曲は1分半程度のものが多く(時には30秒ぐらいで終わることもある)、ジャズやファンクに影響を受けながらもパンキッシュな要素も多分に残していたが、fIREHOSEではロック・ソングの一般的な長さである3分程度の曲に取り組むことが多くなり、曲調もMinutemen時代の荒々しさとは異なる、ポップな感じを出すようになった。この路線変更は、Minutemenのラストアルバム『3-Way Tie (For Last)』から既に始まっていたのだが、大きな役割を果たしたのはやはり、新加入のヴォーカリスト、エド・クロフォードだろう。

 Minutemenはメンバー自身が労働階級出身であることを意識し、D・ブーンの声もそれにふさわしい粗野なものだったが、fIREHOSEのヴォーカリスト、エド・クロフォードは、ブーンとは逆に伸びのある爽やかな声を武器にし、当時盛り上がりつつあったカレッジ・ロックのリスナーを取り込んでいった。

 fIREHOSEは当初、Minutemen同様SSTからアルバムをリリースしていたものの、サードアルバム『Fromohio』を出した後、メジャーのコロンビアに移籍。そこでアルバムを2枚出したが、94年には解散。ベースのマイク・ワットはソロで活動するようになる。

 僕が学生だった2009年頃、SSTからリリースされた最初の3枚のアルバムは、簡単に入手できたが(デジタルでも販売されている)、コロンビア時代の物はとっくに廃盤になっていて、Amazonマケプレを利用しようにも当時はクレジットカードを持っていなかったことから(Amazonギフト券が使えることも知らなかった)、入手を断念せざるをえなかった。だが、2012年、コロンビア時代にリリースされたアルバム(EP含む)を、二枚組のCDにまとめたコンピレーション『lowFLOWs: The Columbia Anthology ('91–'93)』が発売されたのだった。

 僕が特に聞きたかったのは、『Flyin' the Flannel』に収録されていたダニエル・ジョンストン「Walking the Cow」のカバー。オリジナルはジョンストンだから当然ローファイなのだが、fIREHOSEバージョンでは、スローテンポのスラップベースが曲全体に渡って響き、そこにマイク・ワットの語りかけるような低い静かなヴォーカルが乗っかっていて、ジョンストンとは違う素朴さを生み出していた。俺はオリジナルより断然こちらの方が好きだ。

『Live Totem Pole』が聴けるのも、このコンピレーションの強みだ。『Live Totem Pole』の特徴は、ライブ盤でありながら、7曲中5曲がカバーということ。Butthole Surfers「Revolution (Part Two)」やWire「Mannequin」といったチョイスはわかるが、Public Enemyの「Sophisticated Bitch」がカバーされているのには意表を突かれた。

 fIREHOSEのラストアルバム『Mr. Machinery Operator』は、彼らの出した物の中で一番評価が低く、本作に収録されているそれらの曲を実際に聞いてみると、バンドの行き詰まりが感じられるような陰鬱な曲が多かった。ちなみに、『Mr. Machinery Operator』のプロデューサーは、Dinosaur Jr.のJ Mascisである。

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Lowflows: the Columbia Anthology ('91-93)

Lowflows: the Columbia Anthology ('91-93)