考える人 2008年春号 海外の長編小説ベスト100
『考える人』2008年春号では、「海外の長編小説ベスト100」という特集を組み、「さまざまなジャンルの書き手129人」にアンケートをとっている。その結果自体はここにあるので、このサイトでは気になった個人の投票を挙げていきたい。
②アメリカ(失踪者)
③大いなる遺産
⑤ハックルベリイ・フィンの冒険
⑦まっぷたつの子爵
⑨罪と罰
②冷血
③香水(パトリック・ジュースキント)
④心は孤独な狩人
⑥白の闇
⑦夜の果てへの旅
⑨贋金つくり
⑩ナジャ
ボリス・アクーニン
②ロリータ
④白衛軍(ブルガーコフ)
⑥夜明けの約束(ロマン・ギャリー)
⑦すべての王の臣
⑧白痴(ドストエフスキー)
⑨ベラミ
⑩パルムの僧院
②人形の家
③使者たち(ヘンリー・ジェイムズ)
⑤ハツカネズミと人間
⑥もうひとつの生活(バーナード・マラマッド)
⑦タタール人の砂漠
⑧ハイファに戻って
⑨母からは母へ(シンディウェ・マゴナ)
⑩安南──愛の王国
①魔の山
②ヴェルギリウスの死
③ロリータ
⑤兵士シュヴェイクの冒険
⑥城(フランツ・カフカ)
⑨眩暈(エリアス・カネッティ)
⑩田舎司祭の日記(ジョルジュ・ベルナノス)
①バートン版 千夜一夜物語
③サテュリコン(ペトロニウス)
④紅楼夢
⑤幻滅(バルザック)
⑦親和力
⑧デヴィッド・コッパーフィールド
⑨ボヴァリー夫人
・族長の秋
・コレラの時代の愛
・城(フランツ・カフカ)
・審判
・伝奇集(ボルヘス)
・三人の女(ロベルト・ムージル)
・マルーシの巨像
・ナボコフ自伝──記憶よ、語れ
①異邦人(アルベール・カミュ)
④若草物語
⑥愛の妖精
⑦ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ
⑨パルムの僧院
⑩ナジャ
①ある家族の会話(ナタリア・ギンズブルグ)
②プラテーロとわたし(ヒメネス)
④バスク、真夏の死
⑤ライオン(ジョゼフ・ケッセル)
⑥彼方なる歌に耳を澄ませよ
⑦情事の終り
⑧お菓子と麦酒(サマセット・モーム)
⑨結婚しよう(ジョン・アップダイク)
⑩心変わり(ミシェル・ビュトール)
マイケル・エメリック
①よしきた、ジーヴス
②トリストラム・シャンディ
③北へ還りゆく時(アッ=タイーブ・サーレフ)
④崩れゆく絆(チヌア・アチェベ)
⑤The Last Samurai(ヘレン・デウィット)
⑥シティ(フランス・マズレエル)
⑦審判(フランツ・カフカ)
⑧源氏物語
⑨文体練習
⑩紅楼夢
大和田俊之
①城(フランツ・カフカ)
③詐欺師(ハーマン・メルヴィル)
④人間喜劇(バルザック)
⑤オーランドー
⑥パミラ
⑦エドガー・ハントリー
⑩反復(セーレン・キルケゴール)
②ムーン・パレス(ポール・オースター)
⑤音楽室(デニス・マクファーランド)
⑥悪童日記
⑦日々の泡(ボリス・ヴィアン)
⑧宮廷の道化師たち(アヴィグドル・ダカン)
⑨マーティン・ドレスラーの夢
尾崎真理子
①息子と恋人(D・H・ロレンス)
②城(フランツ・カフカ)
④心は孤独な狩人
⑤夜の果てへの旅
⑥ロリータ
⑦冗談
⑧冷血
⑨贖罪(イアン・マキューアン)
①トリストラム・シャンディ
③白鯨
④大地(パール・バック)
⑤ハックルベリー・フィンの冒険
⑥デヴィッド・コパフィールド
⑧マルテの手記
②路上(ジャック・ケルアック)
④罪と罰
⑤冷血
⑥武器よさらば
⑦世界のすべての七月
⑧シャイニング(スティーヴン・キング)
⑨詩人と女たち(チャールズ・ブコウスキー)
⑩また会う日まで(ジョン・アーヴィング)
①人間喜劇(バルザック)
②ルーゴン・マッカール叢書(エミール・ゾラ)
④パルムの僧院
⑦善意の人々(ジュール・ロマン)
⑧クローディーヌ連作(コレット)
⑨バスキエ家の記録
⑩現代史(アナトール・フランス)
①異邦人
②審判
③罪と罰
⑤マルテの手記
⑥日々の泡
⑦嵐が丘
⑧アレクサンドリア四重奏
⑩マルタの鷹
上岡伸雄
②響きと怒り
④ハックルベリー・フィンの冒険
⑤われらの時代
⑥ホワイト・ノイズ
⑦競売ナンバー49の叫び
⑧本当の戦争の話をしよう
⑩幽霊たち(ポール・オースター)
②悪霊
③罪と罰
④白痴
⑥赤と黒
⑦狭き門
⑧別れのワルツ(ミラン・クンデラ)
⑨嵐が丘
⑩復活(トルストイ)
①罪と罰
③赤と黒
④浮かれ女盛衰記
⑧運命論者ジャックとその主人(ドニ・ディドロ)
⑨デイヴィッド・コパフィールド
⑩感情教育
②遠い声 遠い部屋
④木のぼり男爵
⑤ジャン・クリストフ
⑥車輪の下
⑦異端の鳥(イエールジ・コジンスキー)
⑧人間喜劇(ウィリアム・サローヤン)
⑩蠅の王
・西瓜糖の日々
・ある家族の会話(ナタリア・ギンズブルグ)
・ロリータ
・ロマン(ウラジーミル・ソローキン)
・黒い時計の旅
・猫のゆりかご
・ペスト(アルベール・カミュ)
①悪霊(ドストエフスキー)
③アブサロム、アブサロム
④暗黒事件(バルザック)
⑤魔の山
⑥城
⑦贋金つくり
⑧王道(アンドレ・マルロー)
・虚栄の市(サッカレー)
・従妹ベット
・恋愛対位法
・オーランドー
・交換教授
・新編水滸画伝(施耐庵)
①罪と罰
④デヴィッド・カパフィールド
⑥変身(フランツ・カフカ)
⑦人間喜劇(バルザック)
⑨トリストラム・シャンディ
①源氏物語
⑤真昼の暗黒
⑥動物農場
⑦武器よさらば
⑧タバコ・ロード
⑩死せる魂(ゴーゴリ)
①虚栄の市
②嵐が丘
④予告された殺人の記録
⑤永遠の夫
⑥カンタベリー物語(チョーサー)
⑦冷血
⑧アレクサンドリア四重奏
⑨緋文字
⑩日ざかり(エリザベス・ボウエン)
②嵐が丘
③灯台へ
④木曜の男
⑤トリストラム・シャンディ
⑥ねじの回転
⑦ロリータ
⑩木のぼり男爵
越川芳明
①血と暴力の国(コーマック・マッカーシー)
②ソングライン(ブルース・チャトウィン)
③雪(オルハン・パムク)
④ペドロ・パラモ
⑤昏き目の暗殺者
⑥ケリー・ギャングの真実の歴史
⑦ラナーク──四巻からなる伝記
⑨グールド魚類画帖──十二の魚をめぐる小説
⑩夜になるまえに(レイナルド・アレナス)
①ゴールド・コースト(ネルソン・デミル)
②静かなドン(ショーロホフ)
③魔の山
⑤海の男 ホーンブロワー・シリーズ
⑥大聖堂(ケン・フォレット)
⑦ジョセフ・フーシェ(シュテファン・ツヴァイク)
⑧非情の海(モンサラット)
⑨郷愁(ヘルマン・ヘッセ)
⑩キューピー・セブン(レオン・ユリス)
③アレクサンドリア四重奏
⑤アルゴールの城にて
⑥19本の薔薇
⑦石蹴り遊び(コルタサル)
⑧愛する大地(ル・クレジオ)
⑩ガラスの宮殿(アミタヴ・ゴーシュ)
①モービィ・ディック
②従妹ベット
③水滸伝
④荒涼館
⑤ジャン・クリストフ
⑥北回帰線
⑦モンテ・クリフト伯
⑨ハックルベリー・フィンの冒険
④ジャン・クリストフ
⑤魔の山
⑥ガルガンチュア物語/パンタグリュエル物語
⑦八月の光
⑧エジプト人(ミカ・ワルタリ)
⑨大地(パール・バック)
⑩ウィルヘルム・マイスターの徒弟時代・遍歴時代
①少年キム
②デイヴィッド・コッパフィールド
⑤アイヴァンホー
⑥ブライズヘッドふたたび
⑦ロード・ジム
⑧人間の絆
⑨二都物語
⑩活火山の下(マルカム・ラウリー)
①モロイ
②消去(トーマス・ベルンハルト)
③フェルディドゥルケ(ゴンブローヴィッチ)
④スウィム・トゥー・バーズにて
⑤アミナダブ
⑥人生使用法
⑦V(トマス・ピンチョン)
⑧突囲表演(残雪)
⑨リブラ時の秤
⑩キャンプ・コンセントレーション
・赤毛の男(J・P・ドンレヴィー)
・南回帰線
・異邦人
・モーヌの大将
・禿の女歌手(イヨネスコ)
・テレーズ・デケルー
・海の沈黙(ヴェルコール)
・夜の果てへの旅
・マルタの鷹
・白鯨
・完全な真空
・野生の棕櫚
・悪霊(ドスエフスキー)
・青白い炎
・重力の虹
・夜のみだらな鳥
②パルムの僧院
④ボヴァリー夫人
⑥嵐が丘
⑦変身
⑧さかしま(ユイスマンス)
⑩ドリアン・グレイの肖像
都甲幸治
②幽霊たち
③勝手に生きろ(チャールズ・ブコウスキー)
④マオⅡ
⑤黒い時計の旅
⑥マウス(アート・スピーゲルマン)
⑦侍女の物語
⑧西瓜糖の日々
⑨ニュークリア・エイジ
③トリストラム・シャンディ
④白鯨
⑤ロリータ
⑦人生使用法
⑧スウィム・トゥー・バーズにて
⑩ヴァリス
①海底二万哩
②シンネエヴェ・ソルバッケン(ビョルンスン)
③クオ・ヴァディス
④ブッデンブローク家の人々
⑤ニルス・リューネ(ヤコブセン)
⑥1984年
⑨幼年時代(ハンス・カロッサ)
⑩城
④チェゲムのサンドロおじさん(イスカンデル)
⑥フェルディドゥルケ
⑦存在の耐えられない軽さ
⑧妖精たちの夜
⑨賜物(ナボコフ)
⑩ソラリス
・赤と黒
・デイヴィッド・コパフィールド
・感情教育
・魔の山
・選ばれた女
・アレクサンドリア四重奏
・長いお別れ
①阿Q正伝
②自伝の小説(李昴)
③酒国(莫言)
④神樹(鄭義)
⑤ある男の聖書(高行健)
⑥記憶の街・虚構の街(也斯)
⑦子夜(茅盾)
⑧家(巴金)
⑨結婚狂詩曲(銭鍾書)
⑩戦場の恋(張愛玲)
・ユービック
・枯草熱
・路傍のピクニック(ストルガツキー兄弟)
・モロイ三部作
・特性のない男
・脱獄計画(アドルフォ・ビオイ=カサーレス)
・死せる魂(ゴーゴリ)
・ディアーナの水浴
・チャパーエフと空虚
堀江敏行
・浮かれ女盛衰記
・夜の果てへの旅
・魔の山
・特性のない男
・八月の光
・アレクサンドリア四重奏
・白鯨
・デヴィッド・コパーフィールド
・ハドリアヌス帝の回想
①魔術師(ジョン・ファウルズ)
②アレクサンドリア四重奏
③嘔吐(サルトル)
④恋愛のディスクール・断章
⑤木曜日の男
⑥ナジャ
⑦モロイ
⑧ブライヅヘッドふたたび
⑨アルゴールの城にて
⑩たのしい川べ(ケネス・グレアム)
②嵐が丘
④パルムの僧院
⑤若草物語
⑥デイヴィッド・カッパーフィールド
⑦危険な関係(ラクロ)
⑧ボヴァリー夫人
⑩ハックルベリー・フィンの冒険
①ミドルマーチ
②ブライヅヘッドふたたび
③月長石
⑤人間の絆
⑥大使たち
⑦デイヴィッド・コパフィールド
⑧鐘(アイリス・マードック)
⑨アーダ(ナボコフ)
⑩旅の終りの音楽(ハンセン)
①選ばれし人(トーマス・マン)
③プシケ(ジュール・ロマン)
④虹(D・H・ロレンス)
⑤赤と黒
⑧魅せられたる魂
⑨罪と罰
①罪と罰
③城
⑤ボヴァリー夫人
⑥知と愛(ヘルマン・ヘッセ)
⑨大地(パール・バック)
⑩アンの幸福(モンゴメリ)
①マルテの手記
②南回帰線
③走れウサギ
④審判
⑤ロリータ
⑥魔術師(ジョン・ファウルズ)
⑦ヴェニスに死す
⑧軽蔑(モラヴィア)
⑨裸者と死者
⑩ペスト(カミュ)
①紅楼夢
②眩暈(カネッティ)
③サラゴサ手稿
⑤第三の警官
⑥アミナダブ
⑧白鯨
⑨ブヴァールとペキュシュ
⑩フランドルへの道
デヴィッド・ロッジ
・エマ
・ミドルマーチ
・荒涼館
・ 情事の終り
・卑しき肉体(イーヴリン・ウォー)
・ラッキー・ジム(キングズリー・エイミス)
・絨毯の下絵(ヘンリー・ジェイムズ)
②ロリータ
③アメリカの息子(リチャード・ライト)
④ピクウィック・クラブ
⑤ディフェンス(ナボコフ)
⑥叔母との旅(グレアム・グリーン)
⑦少年時代(ロバート・マキャモン)
⑧破壊された男(アルフレッド・ベスター)
⑨ウィチャリー家の女(ロス・マクドナルド)
⑩洞窟の女王(H・R・ハガード)
フォークナーが少ないわりに、『百年の孤独』が多いのがちょっと気になる。ヘンリー・ジェイムズもほとんどない。
意外とカーソン・マッカラーズの『心は孤独な狩人』が選ばれている。『チボー家の人々」は世代的なものかなあ。今、読む人はあまりいないだろう。パール・バックの『大地』もそうかな。まあ、時代によって、こういうのは変わっていくのだろう。