みうらじゅん 『やりにげ』
新潮OH!文庫から出版された時には、「日本文学史上に屹立する、Hなじゅん文学! 」というすごいサブタイトルがつけられていた本書。単行本版の表紙にはデッドベアが使われていた。
内容紹介を見て、「みうらじゅんの私小説なのかな」と思って読んだのだが、そこまで「濃い」感じのものではなかった。どちらかといえば量で勝負する感じ(まあ、みうらの活動というのはだいたいそういうものだが)。自分の話だけではなく、時には他人の体験も混ぜているとか。
目次には、次のような際どい言葉が踊っている。
「ピンクローターの女」
「白い点の女」
「映画館の女」
「ロリ顔の女」
「忘れ物の女」
こうしたエピソード一つ一つに、みうらにの手による相手の女のイラストと、年齢・職業・出身地・具合・関係日数といった情報が記載されている。例えば、「机の下の女」では次のように書いてある。
「年齢・19歳/職業・プータロー/出身地・分からない/具合・特上/関係日数・1時間ぐらい」
つまり、カタログのような感じ。一つのエピソードに費やされるページ数は、大体7ページ(新潮文庫版)程度。SM体験を描いた「亀甲縛りの男」やペニスの味から浮気を疑われる「味覚の女」などが面白かったが、全体的にあっさりしすぎていて物足りないとも思う。エピソードによってはもっと掘り下げられたんじゃないかな。
ちなみに、この本、水道橋博士主演で映画化されているらしい。