たったひとりで運動するということ──スポッチャ体験記

 僕は自他ともに認めるオタクだが、運動は嫌いではない。嫌いなのは団体でやるスポーツだ。だから、卓球とかはかなり好きで、中学の時学校の近くにある公民館みたいなところでよくやっていた。今はバッティングセンターに通うことが多い。それで、都内のバッティングセンターを暇つぶしがてらネットで探していたら、スポッチャの中にもゲームの一つとしてあることを知った(余談だが、元オリックスの戎信行は引退後高松のラウンドワンで働き始め、今では支配人になっているとか)。スポッチャのホームページを見ると、平日午前11時までに入場すれば、普通の料金より格安で3時間遊べるとのこと。不安だったのは、これに誘う知り合いが一人もいないという点だった。行くとしたら、僕一人でいくしかないが、やっぱり恥ずかしい。いや、でも平日の午前ならそんなに人もいないんじゃないか。3日間ぐらい葛藤した末、とうとう行くことに決めた。12月17日のことである。

 遊びに行ったのは板橋にあるスポッチャだ(辛酸なめ子の『無銭ひとり散歩』でも取り上げられていた)。エレベーターで4階に上がり、受付に行くと、まだ冬休み前だと思うのだが、なぜか小・中学生がたくさんいた。それでもここまで来たからには帰るのもみっともないので、金を払いリストバンドを受け取って中に入った。4階には、レーシングゲーム、ダーツ、ビリヤード、壁当てテニス、壁当てサッカー、シミュレーションゴルフなどがあった。驚いたのはカラオケと釣堀があったことで、釣堀には誰もいなかった。

 屋上にあがると、バッティングセンターとストラック・アウトがあり、他にはテニス、バレー、バスケ、サッカーといった団体向けのゲームが多かった。団体客で固まっている屋上を、25歳の男が一人で歩くのはさすがに目立った。カップルからは変質者を見るような目を向けられたが、あながち間違いではない。

 取りあえず、目当てのバッティングをやった。一回のゲームで確か10球ちょっとだったと思う。回転を速くするために、球数を普通のバッティングセンターよりも少なくしている。それでケージを出たり入ったりしていたのだが、二台のピッチングマシーンが一時間もしない内に壊れた。僕は左利きでもともと入れるケージが少ないから、これには困った。まあ、3時間は無制限にどのゲームも遊べるわけだから、普段立たない右打席で打つのも楽しかったが。ソフトボール用のケージも、なかなか新鮮。

 しかし、その内小雨が降り始め、「バッティングとストラック・アウトは中止」というアナウンスが流れた。それから4階に戻り、小・中学生が騒いでいる中、一人でできる壁当てテニス、壁当てサッカー、ダーツ、ビリヤード等で孤独に遊んでいた。皆団体で来ているから、一人用ないし二人用のゲームは人気がないのだ。暫くすると、スーツを着たおっさんが、僕と同じように一人で中に入って来た。何をするのかと思って見ていたら、ローラースケートでひたすら滑っていた。かなりシュールな光景だ。常連なのだろうか。

 3時間遊び放題ということだったが、一人だとやはり30分ぐらいは持て余した。僕は使わなかったが、マンガ喫茶のような休憩所があって、そこを利用している人も結構いた。スポッチャは朝までオープンしているので、そこで寝たりするのだろうか。

 休日ほど混んでいないという事もあって、屋上以外では、時間が経つにつれ人の目はさほど気にならなくなった。4階のゲームで遊んでいる時に、順番待ちの列がほとんどできなかったことも大きいだろう。

 帰り際に、3階のゲーセンで使えるUFOキャッチャーのタダ券をもらった。ゲーセンにはほとんど行ったことがないが、せっかくなので券を使って人生で3回目ぐらいのUFOキャッチャーにチャレンジした。前に友人がやっていたのを思い出しながら、アームを動かしたら、ドラえもんの人形をゲットできた。結構かわいいが、すぐに汚れそうだ。

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無銭ひとり散歩―お金をかけずに東京珍スポット見物!

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