川本三郎 『スタンド・アローン』

 たまたま昔の書籍に入っていた広告を見て気になり、読んでみたのだが、これが抜群に面白かった。「今世紀初頭(20世紀)から現在まで、映画、文学、スポーツ、音楽などの分野で独自の世界を築いた個性的な男たち23人のミニ・バイオグラフィー」というのが、裏表紙に記載されている本書の要約だ。取り上げられているのは、W・Cフィールズ、B・トレヴン、ハリー・クロスビー、ノエル・カワードフランク・キャプラマルカム・ラウリーミッキー・マントル、R・W・ファスビンダーなど。

 本国ではそれなりに有名だが、日本では未だ伝記が出版されていないような人物を多く取り上げているのが助かる。例えば、B・トレヴンは、ジョン・ヒューストン監督『黄金』の原作者だが、当時は覆面作家で、その正体と経歴が簡単にまとめられている。こういうのは貴重だ。どの人物も文庫で12ページ程度の紹介なのだが、最低限の情報が過不足なく詰め込まれていて、人となりがすぐに理解できる。まとめ方も、上手い。前述した人名にピンときた人は、手に取るべきだろう。

 

スタンド・アローン―20世紀・男たちの神話 (ちくま文庫)
 

  

黄金 (1954年) (Hayakawa pocket books)

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