新春恒例93年シングルめった斬り毒舌対談

 家にあった『ロッキング・オン』のバックナンバー(1994年3月号)を読み返していたら、「新春恒例93年シングルめった斬り毒舌対談」というタイトルの記事を発見した。これは『NME』1993年12月25日号の"Juke Box Fury"という記事の翻訳で、若手ミュージシャンらが集まってその年に話題になったシングルについてあれこれ語るというものだ。この時集まったのは、リッチー・ジェイムス(マニック・ストリート・プリーチャーズ)、サラ・クラックネル(セイント・エティエンヌ)、デーモン・アルバーン(ブラー)、マーク・ラマー(TV司会者)という面々。取り上げられたのは、ビョークレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンペット・ショップ・ボーイズニルヴァーナサイプレス・ヒルスウェードなど。みな忌憚なく意見を言っているので、当時のシーンの状況を知るうえでも貴重な座談会だ。

 

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンについて

デーモン「僕はレイジ(アゲインスト・ザ・マシーン)がラップだとは思わない──あんなものはデザイナーズ・ブランドを着た反乱でしかないよ」

  

・レモンヘッズについて

リッチー「奴(イヴァン)はごくありきたりのヤク好きアメリカ人でしかないよ。流行遅れのルックスのね。表紙にはもってこいだよ」

  

サイプレス・ヒルについて

リッチー「サイプレス・ヒルが最悪なのは、連中がマリファナはワーキング・クラスを解放すると思っているってことさ。あんなもの、かつてのジンやビールと同じ、ただの逃避手段でしかないのにね」

  

ニルヴァーナの『イン・ユーテロ』について

サラ「『ネヴァーマインド』に比べると、今回のアルバムは音の抑揚が少ないわね。(中略)まるで二流の『ネヴァーマインド』みたい」

  

スウェードについて

デーモン「連中って、ほんの僅かすら*1おもしろくないよ」

  

 こういう風に、発言一つ一つに個性が出ているのが面白い。これを踏まえて、バンドの音楽を聴き直すのも楽しいだろう。

 

*1:「すら」に傍点