新春恒例94年シングルめった斬り対談

 前に「新春恒例93年シングルめった斬り毒舌対談」という『ロッキング・オン』の記事を紹介したが、「新春恒例94年シングルめった斬り対談」(『ロッキング・オン』1995年3月号に収録)はその94年版で、『NME』1994年12月17日号に掲載された"Juke Box Fury"の翻訳だ。前回と同じように、若手ミュージシャンらが1994年にリリースされたシングルを肴にして、あれこれ感想を喋り合っている。今座談界の参加者は、ノエル・ギャラガー(オアシス)、ジャスティーン・フリッシュマン(エラスティカ)、ジャーヴィス・コッカーパルプ)、アンディ・ケアンズ(セラピー?)となっている。そして、彼らがネタにしているのは、ホール、ストーン・ローゼズクランベリーズスウェードサウンドガーデンプライマル・スクリームグリーン・デイ、REMなどで、『NME』という媒体のせいかロックバンドが目立つ。前回の座談会ではデーモン・アルバーンとリッチー・ジェイムスの発言(毒舌)が際立っていたが、今回は4人ともまんべんなく放談している。

 

・ホールについて

ノエル「俺はホールは好きじゃない。でもニルヴァーナは好きだったぜ。この男(注:カート・コバーン)はすごいぞと思った。それに、ドラマーもすんげえホットだと思ったよ」

 

ストーン・ローゼズ「ラヴ・スプレッズ」について

ジャスティーン「あたしはそんなに好きでもないの。ギターのサウンドはすごくいいと思うけど、イアンの声がすごく暗くて退屈」

 

クランベリーズ「ゾンビ」について

アンディ「クランベリーズのこのシングルは、庇護者ぶっててどこか横柄だね」

 

スウェード「ウィー・アー・ザ・ピッグス」について

ジャーヴィス「問題なのは、どんなにいい曲だと思っても、その曲はもはや存在しないバンドが作ったものなんだ、ということだよ(注:メンバーの一人、バーナード・バトラーが脱退したことを指している)。(中略)音楽がどんなに良くても、リスナーのほうは"このアルバムの制作中にスウェードは解散したんだ"と思って聴いてしまう」

 

グリーン・デイについて

ノエル「アメリカが俺たちにMC5とストゥージーズを与えてくれたのは確かさ。でもこいつら(注:グリーン・デイ)とオフスプリングはただのクソだ」

 

プライマル・スクリーム「ロックス」について

ジャスティーン「あたしはひどい曲だと思う。グラスゴー出身の人間が警官のことを歌ってるっていうのが気に食わないの。発想が貧しいのよ」

 

・ブラー「ガールズ・アンド・ボーイズ」について

ノエル「とにかくめっちゃグレイトなポップ・シングルだよ。俺のバンドのメンバーはみんなブラーが大嫌いだ、ってことになってるみたいだし、確かに俺はブラーのアルバムに興味を持ったことは一度もないけど、シングルのコンピレーションが出たら絶対に買うぜ」

 

 前回の座談会と違って、今回のメンバーはどことなく距離が近く雑談も弾んでいる。靴に対するこだわりやアメリカ人に対して批判的に語る部分などが面白かった。