ぼくらはカルチャー探偵団編 『読書の快楽』
安原顯が中心となって企画したブックガイド『読書の快楽』。1985年に角川文庫より出版され、その後も安原の手によって、様々なブックガイドが編まれた。
選者には、安原と付き合いのある人たちが起用されているのだが、いわゆるニューアカ関係者が多い(蓮實重彦、浅田彰、中沢新一など)。
取りあえず適当に彼らの選んだ本をここに挙げよう。
浅田彰「ノン・ジャンル ベスト60 絵にかいたような〈知的女性〉のあなたに」
ラヴェル『ダフニスとクロエ』ブーレーズ/NYP CBSソニー
パニアグワ『古代ギリシャの音楽』ビクター音楽
ルクレティウス『事物の本質について』「世界古典文学全集」筑摩書房
『ローマとその世界帝国』新潮古代美術館
『地中海世界の優雅な午後』新潮古代美術館
J・G・バラード『ヴァーミリオン・サンズ』早川書房
木島俊介『ヨーロッパ中世の秋』中央公論社
デュファイ『世俗音楽全集』ロンドン中世アンサンブル オワゾリール
『ブリューゲル』新潮美術文庫
『ジャック・カロ』筑摩書房
『デルヴォー』美術出版社
萩尾望都『11人いる!』『A-A'』「萩尾望都作品集」小学館
ペルゴレージ『スタバト・マーテル』ジャコブ ビクター音楽
『アリスの絵本』牧神社
『少女図鑑』冬樹社
Faucon:Les Grandes Vacances Herscher,Paris
『クラナッハ』Thames and Hudson
ラヴィエ『中世の再発見』日本コロムビア
パニアグワ『ラ・フォリア』ビクター音産
カート・ヴォネガット『スラップスティック』ハヤカワ文庫
玖保キリコ『シニカル・ヒステリー・アワー』花とゆめコミックス/白泉社
細野晴臣『テレビゲーム・ミュージック』アルファ・レコード→『ビデオ・ゲーム・ミュージック』
ガートルド・スタイン『アリス・B・トクラスの自伝』筑摩書房
多田智満子『鏡のテオーリア』大和書房
澁澤龍彦「ポルノグラフィー ベスト50」
サド『悪徳の栄え』富士見文庫
サド『美徳の不幸』富士見文庫
サド『閨房哲学』富士見文庫
ビアズレー『美神の館』光風社
ハリス『わが性と愛』富士見文庫→『わが生涯と恋愛』
ピエール・ルイス『三人娘と母』サバト館近刊予定→『母娘特訓』
クレビヨン・フィス『ソファー』世界文学社
ミラボー伯爵『エロチカ・ビブリヨン』未訳
サンシール『パウリスカ』未訳
ネルシア『フェリシアあるいは私の過ち』未訳
ヴェルレーヌ『オンブル』出版21世紀
ミュッセ『ガミアニ』富士見文庫
ゴーティエ『女議長への手紙』学藝書林→『サバチエ夫人への手紙』
アレティーノ『ラジオナメンティ』角川文庫
デフリエント『ドイツ歌姫の回想』富士見文庫→『ある歌姫の想い出』
ムッツェンバッヘル『ウィーン娼婦の自伝』鷹書房
テリー・サザーン/M・ホッフェンバーグ『キャンディー』早川書房
コリエ『ルイザ・シゲアの対話』三崎書房
チャールズ・スウィンバーン『フロッシー』未訳
チャールズ・スウィンバーン『ラウス・ヴェネリス』未訳
ウィルヘルム・マイテル『バルカン戦争』未訳
E・D『ロシア踊子の回想』東京書院
マーク・トゥエイン『自慰に関する一考察』未訳
ガブリエル・ヴィトコップ『ネクロフィル』未訳
平賀源内『長枕褥合戦』『国文学解釈と鑑賞』臨時増刊
黒沢翁満『藐姑射秘事』日輪閣
李漁『肉蒲団』第一出版社
作者不詳『大東閨語』南葵書房
作者不詳『杏花天』未訳
蓮實重彦「映画の本 ベスト30」
『ゴダール全集』第4巻 竹内書店新社
山田宏一『シネ・ブラボー──小さな映画誌』『シネ・ブラボー2──映画について私が知っている二、三の事柄』『シネ・ブラボー3──わがトリュフォー』ケイブンシャ文庫
山田宏一『美女と犯罪──映画的な、あまりに映画的な』早川書房
山根貞夫『映画狩り』現代企画社
上野昴志『映画──反英雄の神話』話の特集
蓮實重彦『映画はいかにして死ぬか』フィルムアート社
澁澤のリストについてはここで指摘している人がいるけど、自分の翻訳したサドの著作(富士見文庫)を真っ先に挙げているのがなんとも。あと、邦訳を出した出版社名を記載しておきながら、その邦題が一部間違っている。
蓮實に至っては、ほとんど自分の仲間の本しか取り上げていない。ある意味潔いといえば潔いが。まあ、そういうことがわかるのも、ベスト○○を読む一つの醍醐味ではあるか。
浅田のリストは「知的女性」が読むことを想定して作られているらしい。『ダフニススとクロエ』のような古典はともかく、坂本龍一の本はどうなんだろうか。「時代」を感じさせるリストであることは否めないと思う。
この他のリストとしては、池澤夏樹が選んだ「冒険小説 ベスト50」、高橋源一郎が選んだ「少女マンガ ベスト50」、吉本隆明が選んだ「ノン・ジャンル ベスト120」などがある。
ちなみに、リンクはアマゾンからテキトーに引っ張って来たもので、原著で指定されていた出版社のものとは違う場合があるので注意。あと、当時未訳だったものも、今ではいくつか翻訳されていたりする。
おまけ(澁澤のものと合わせて参考にどうぞ)
風間賢治「ポルノグラフィー(外国)ベスト50」(『読書の魅惑』1993年、メタローグより引用)
M・ミオー&J・ランジュ『娘たちの学校』
ラ・フォンテーヌ『コント』
マルキ・ダルジャン『テレーズの告白』
ジョン・クレランド『ファニー・ヒル』
コント・ド・ミラボオ『フランス一の伊達男』
E・T・A・ホフマン『悪女モニカ』
作者不詳/青木信光編『私は蚤である』
作者不詳『我が秘密の生涯』
ロード・ジョージ・ハーバート『ハレムの一夜』
ジョン・スミス『トゥルー・ラブ』
H・スィンバーン『フロッシー』
カウント・ジョージ『南北戦争』
バンヤ『ロシヤ宮廷の踊子』
フランク・ハリス『わが生と愛』
ポール・レオトー『禁じられた領域』
ジョン・レチー『夜の都会』
モーリス・ジローディアス編『The Olympia Reader』
エオン・エキス『強姦の形而上学』
ミッシェル・ベルナール『唖の黒人女』
マリオ・メルシュ『タブー』
バリー・マルツバーグ『スクリーン』
ピエール・ギュヨタ『エデン エデン エデン』
テリー・ザザーン『Blue Movie』
J・P・ドンレヴィー『オニオン・イーターズ』
A・N・ワードスミス『彼女』
ベルナール・ノエル『聖餐城』
J・G・バラード『クラッシュ』
ウィリアム・コツウィンクル『Night Book』
キャシー・アッカー『Kathy Goes to Haiti』
アン・ライス『The Claiming of Sleeping Beauty』
ユーリィディス『F/32』
読書の快楽―ブックガイド・ベスト1000 (角川文庫 (6289))
- 作者: ぼくらはカルチャー探偵団
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1985/12
- メディア: 文庫
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