遠山純生編 『映画監督のお気に入り&ベスト映画』

 ツイッターでフォローしている人がこの本に言及していたので、図書館で借りてみた。

 中身は、評論家がタランティーノウォン・カーウァイの映画遍歴について書いたものや、エリック・ロメールキアロスタミといった有名監督が映画について書いたエッセイの翻訳(ポール・シュレイダーがヤクザ映画を詳細に分析した評論もある)、そして「世界の一流監督が選ぶオールタイム・ベストテン」といった構成になっている。その他、「映画史年表」や「アメリカ映画 ジャンル&サブ・ジャンル相関図」といったおまけも充実している。

 ここにはメモ的に、「オールタイム・ベスト」の一部を転載しよう。

 

リンジー・アンダースン

『イギリスに耳を傾けよ』ハンフリー・ジェニングス

コレヒドール戦記』ジョン・フォード

東京物語小津安二郎

『歌のレッスン』リンジー・アンダースン他

『我輩はカモである』レオ・マッケリー

『新学期・操行ゼロ』ジャン・ヴィゴ

『優しい人』クロード・オータン=ララ

『大地』アレクサンドル・ドヴジェンコ

若草の頃ヴィンセント・ミネリ

『黄金時代』ルイス・ブニュエル

 

ペドロ・アルモドバル

『イタリア旅行』ロベルト・ロッセリーニ

哀愁の湖ジョン・M・スタール

『オープニング・ナイト』ジョン・カサヴェテス

アパートの鍵貸しますビリー・ワイルダー

『生きるべきか死ぬべきか』エルンスト・ルビッチ

『エル』ルイス・ブニュエル

ゲームの規則ジャン・ルノワール

『静かなる男』ジョン・フォード

過去を逃れてジャック・ターナー

北北西に進路を取れアルフレッド・ヒッチコック

 

ジョン・カーペンター

『コンドル』ハワード・ホークス

『フォルスタッフ 真夜中の瞳』オーソン・ウェルズ

リオ・ブラボーハワード・ホークス

ブルジョワジーの秘かな愉しみ』ルイス・ブニュエル

『チャイナタウン』ロマン・ポランスキー

赤ちゃん教育ハワード・ホークス

『捜索者』ジョン・フォード

『暗黒街の顔役』ハワード・ホークス

『めまい』アルフレッド・ヒッチコック

 

ジャン=ジャック・ベネックス

『2001年宇宙の旅』スタンリー・キューブリック

セリーヌ』ジャン=クロード・ブリソー

『白い町で』アラン・タネール

天井桟敷の人々』マルセル・カルネ

ゲームの規則ジャン・ルノワール

アタラント号ジャン・ヴィゴ

『白い馬』アルベール・ラモリス

『オペラは踊る』サム・ウッド

『モダン・タイムス』チャールズ・チャップリン

『犯罪河岸』アンリ=ジョルジュ・クルーゾ

 

スタン・ブラッケイジ

『詩人の血』ジャン・コクトー

『オルフェ』ジャン・コクトー

『オルフェの遺言』ジャン・コクトー

『ロンドンの雄鹿』ジョン・チェンバーズ

『対角線交響楽』ヴィキング・エッゲリング

『イワン雷帝』セルゲイ・エイゼンシュタイン

『すべての死者たちの書』ブルース・エルダー

『モーション・ペインティング』オスカー・フィッシンガー

『詩人のベール』ピーター・ハーウィッツ

『ゴー!ゴー!ゴー!』マリー・メンケン

『このうえなく優美な死体の冒険』アンドリュー・ノーレン

『見られ続けて』フィル・ソロモン

 

ジャッキー・チェン

『80日間世界一周』マイケル・アンダースン

市民ケーンオーソン・ウェルズ

ドクトル・ジバゴ』デイヴィッド・リーン

風と共に去りぬヴィクター・フレミング

『ミッドナイト・ラン』マーティン・ブレスト

カッコーの巣の上で』ミロシュ・フォアマン

七人の侍黒澤明

『戦場にかける橋』デイヴィッド・リーン

ディア・ハンターマイケル・チミノ

ゴッドファーザーフランシス・フォード・コッポラ

 

チェン・カイコー

地獄の黙示録フランシス・フォード・コッポラ

市民ケーンオーソン・ウェルズ

大人は判ってくれないフランソワ・トリュフォー

ゴッドファーザーフランシス・フォード・コッポラ

イントレランス』D・W・グリフィス

アラビアのロレンス』デイヴィッド・リーン

羅生門黒澤明

『タクシー・ドライバー』マーティン・スコセッシ

レイジング・ブルマーティン・スコセッシ

黄色い大地チェン・カイコー

 

マイケル・チミノ

『山猫』ルキノ・ヴィスコンティ

コレヒドール戦記』ジョン・フォード

『ルートヴィヒ 神々の黄昏』ルキノ・ヴィスコンティ

『捜索者』ジョン・フォード

『道』フェデリコ・フェリーニ

天井桟敷の人々』マルセル・カルネ

荒野の決闘ジョン・フォード

甘い生活フェデリコ・フェリーニ

若者のすべてルキノ・ヴィスコンティ

七人の侍黒澤明

 

アレックス・コックス

『皆殺しの天使』ルイス・ブニュエル

『アルジェの戦い』ジッロ・ポンテコルヴォ

市民ケーンオーソン・ウェルズ

『炎628』

『生きる』黒澤明

キング・コング』メリアン・C・クーパー&アーネスト・B・シェードサック

『恐怖の報酬』アンリ=ジョルジュ・クルーゾー

『黄金』ジョン・ヒューストン

『2001年宇宙の旅』スタンリー・キューブリック

『乱』黒澤明

 

ジョナサン・デミ

『アントニオ・ダス・モルテス』グラウベル・ローシャ

暗殺の森ベルナルド・ベルトルッチ

ドゥ・ザ・ライト・シングスパイク・リー

『ゲアトルード』カール・Th・ドライヤー

キング・コングメリアン・C・クーパー&アーネスト・B・シェード

『神々の深き欲望』今村昌平

『年月を数える夜』シャディ・アブデル=サラーム

『ロビンとマリアン』リチャード・レスター

ピアニストを撃てフランソワ・トリュフォー

オズの魔法使ヴィクター・フレミング

 

スタンリー・キューブリック

『青春群像』フェデリコ・フェリーニ

『野いちご』イングマール・ベルイマン

市民ケーンオーソン・ウェルズ

『黄金』ジョン・ヒューストン

『街の灯』チャールズ・チャップリン

『ヘンリー五世』ローレンス・オリヴィエ

『夜』ミケランジェロ・アントニオーニ

『ザ・バンク・ディック』エディ・クライン

『ロキシー・ハート』ウィリアム・ウェルマン

『地獄の天使』ハワード・ヒューズ

 

フェデリコ・フェリーニ

マチステの地獄征伐』グイド・ブリニョーネ

『街の灯』チャールズ・チャップリン

『怪傑ディアボロ』ハル・ローチ&チャールズ・ロジャーズ

フランケンシュタイン』ジェイムズ・ホエール

駅馬車ジョン・フォード

『戦火のかなた』ロベルト・ロッセリーニ

『2001年宇宙の旅』スタンリー・キューブリック

ブルジョワジーの秘かな愉しみ』ルイス・ブニュエル

『ベルリンで離ればなれになったトトとペッピーノ』ジョルジュ・ビアンキ

インテルビスタフェデリコ・フェリーニ

 

アトム・エゴヤン

ラルジャンロベール・ブレッソン

『ざくろの色』セルゲイ・パラジャーノフ

8 1/2フェデリコ・フェリーニ

『キング・オブ・コメディ』マーティン・スコセッシ

『鏡』アンドレイ・タルコフスキー

『夜』ミケランジェロ・アントニオーニ

裁かるるジャンヌ』カール・Th・ドライヤー

『仮面/ペルソナ』イングマール・ベルイマン

『テオレマ』ピエル・パオロ・パゾリーニ

女と男のいる舗道ジャン=リュック・ゴダール

 

エドワード・ヤン

『アギーレ・神の怒り』ヴェルナー・ヘルツォーク

ラルジャンロベール・ブレッソン

ブルー・ベルベットデイヴィッド・リンチ

時計じかけのオレンジスタンリー・キューブリック

8 1/2フェデリコ・フェリーニ

浮雲成瀬巳喜男

切腹小林正樹

『マンハッタン』ウディ・アレン

『アメリカの伯父さん』アレン・レネ

ノスタルジアアンドレイ・タルコフスキー

 

テリー・ギリアム

市民ケーンオーソン・ウェルズ

七人の侍黒澤明

『第七の封印』イングマール・ベルイマン

8 1/2フェデリコ・フェリーニ

『2001年宇宙の旅』スタンリー・キューブリック

『キートンの探偵学入門』バスター・キートン

『ピノキオ』ベン・シャープスティーン&ハミルトン・ラスク

天井桟敷の人々』マルセル・カルネ

『片目のジャック』マーロン・ブランド

アパートの鍵貸しますビリー・ワイルダー

 

ウィリアム・フリードキン

市民ケーンオーソン・ウェルズ

『イブの総て』ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ

『黄金』ジョン・ヒューストン

『2001年宇宙の旅』スタンリー・キューブリック

モントリオールのジーザス』ドゥニ・アルカン

『欲望』ミケランジェロ・アントニオーニ

8 1/2フェデリコ・フェリーニ

『突撃』スタンリー・キューブリック

ラストタンゴ・イン・パリベルナルド・ベルトルッチ

 

侯孝賢

フェリーニのアマルコンド』フェデリコ・フェリーニ

浮雲成瀬巳喜男

勝手にしやがれジャン=リュック・ゴダール

東京物語小津安二郎

『遠い雷鳴』サタジット・レイ

『まわり道』ヴィム・ヴェンダース

『不安と魂』ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー

『アギーレ・神の怒り』ヴェルナー・ヘルツォーク

『愛に関する短いフィルム』クシシュトフ・キエシロフスキ

ゴッドファーザーフランシス・フォード・コッポラ

 

デレク・ジャーマン

アタラント号ジャン・ヴィゴ

『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー

カンタベリー物語』ピエル・パオロ・パゾリーニ

老兵は死なずマイケル・パウエルエメリック・プレスバーガー

たそがれの女心マックス・オフュルス

『午後の網目』マヤ・デーレン&アレクザンダー・ハミッド

『モダン・タイムス』チャールズ・チャップリン

『オルフェ』ジャン・コクトー

パンドラの箱』G・W・パブスト

オズの魔法使ヴィクター・フレミング

 

アキ・カウリスマキ

東京物語小津安二郎

肉体の冠ジャック・ベッケル

黒い罠』&『審判』オーソン・ウェルズ

『ゲアトルード』カール・Th・ドライヤー

シラノ・ド・ベルジュラックマイケル・ゴードン

『幻影は市電に乗って旅をする』ルイス・ブニュエル

『極北の怪異』ロバート・フラハティ

『はなればなれに』とその他の作品 ジャン=リュック・ゴダール

『モンタレー・ポップ』D・A・ペネベイカー

『白いトナカイ』エリック・ブロムベルイ

 

マイケル・マン

地獄の黙示録フランシス・フォード・コッポラ

戦艦ポチョムキン』セルゲイ・エイゼンシュタイン

ファウストF・W・ムルナウ

博士の異常な愛情スタンリー・キューブリック

キッスで殺せロバート・オルドリッチ

荒野の決闘ジョン・フォード

プロビデンスアラン・レネ

民衆の敵ウィリアム・ウェルマン

『ジプシーのとき』エミール・クストリッツァ

『2001年宇宙の旅』

 

フレデリック・ワイズマン

マルクス一番乗り』サム・ウッド

『オペラは踊る』サム・ウッド

『我輩はカモである』レオ・マッケリー

『ターミナル・ホテル クラウス・バービーの生涯と時代』 マルセル・オフュルス

『崖』フェデリコ・フェリーニ

『モダン・タイムス』チャールズ・チャップリン

カビリアの夜フェデリコ・フェリーニ

『W・C・フィールズの歯科医』レスリー・ピアス

『鏡の中の女』イングマール・ベルイマン

『黄金狂時代』チャールズ・チャップリン

  

ジョン・シュレンジャー

『ウンベルトD』ヴィットリオ・デ・シーカ

ブルジョワジーの秘かな愉しみ』ルイス・ブニュエル

大いなる幻影ジャン・ルノワール

『生きる』黒澤明

市民ケーンオーソン・ウェルズ

『ファニーとアレクサンデル』フェデリコ・フェリーニ

『第三の男』キャロル・リード

『サンセット大通り』ビリー・ワイルダー

雨に唄えばスタンリー・ドーネンジーン・ケリー

大人は判ってくれないフランソワ・トリュフォー

 

ポール・シュレイダー

ゲームの規則ジャン・ルノワール

東京物語小津安二郎

『スリ』ロベール・ブレッソン

市民ケーンオーソン・ウェルズ

裁かるるジャンヌ』カール・Th・ドライヤー

暗殺の森』ベルナルド・ベルトリッチ

『めまい』アルフレッド・ヒッチコック

『男性・女性』ジャン=リュック・ゴダール

『街の灯』チャールズ・チャップリン

『捜索者』ジョン・フォード

 

イェジー・スコリモフスキ

8 1/2フェデリコ・フェリーニ

市民ケーンオーソン・ウェルズ

羅生門黒澤明

『第七の封印』イングマール・ベルイマン

アタラント号ジャン・ヴィゴ

『忘れられた人々』ルイス・ブニュエル

『太陽はひとりぼっち』 ミケランジェロ・アントニオーニ

若者のすべてルキノ・ヴィスコンティ

去年マリエンバートでアラン・レネ

ゴッドファーザーPART2』フランシス・フォード・コッポラ

 

オリヴァー・ストーン

『我等の生涯の最良の年』ウィリアム・ワイラー

アラビアのロレンス』デイヴィッド・リーン

博士の異常な愛情スタンリー・キューブリック

『1900年』ベルナルド・ベルトリッチ

レイジング・ブルマーティン・スコセッシ

『南海征服』フランク・ロイド

『波止場』エリア・カザン

ゴッドファーザー』『ゴッドファーザーPART2』フランシス・フォード・コッポラ

『突撃』スタンリー・キューブリック

市民ケーンオーソン・ウェルズ

 

ニキータ・ハミルコフ

『国境の町』ボリス・バルネット

8 1/2フェデリコ・フェリーニ

市民ケーンオーソン・ウェルズ

俺たちに明日はないアーサー・ペン

『ベニスに死す』ルキノ・ヴィスコンティ

カッコーの巣の上で』ミロシュ・フォアマン

アタラント号ジャン・ヴィゴ

『ザ・デッド』ジョン・ヒューストン

『恥』イングマール・ベルイマン

羅生門黒澤明

 

ジョン・ウー

市民ケーンオーソン・ウェルズ

『2001年宇宙の旅』スタンリー・キューブリック

『サムライ』ジャン=ピエール・メルヴィル

アラビアのロレンス』デイヴィッド・リーン

ミーン・ストリートマーティン・スコセッシ

ワイルドバンチサム・ペキンパー

ゴッドファーザーPART2』フランシス・フォード・コッポラ

七人の侍黒澤明

ウェスト・サイド物語ロバート・ワイズ

レイジング・ブルマーティン・スコセッシ

 

マーティン・スコセッシ

8 1/2フェデリコ・フェリーニ

市民ケーンオーソン・ウェルズ

『山猫』ルキノ・ヴィスコンティ

『赤い靴』マイケル・パウエルエメリック・プレスバーガー

『捜索者』ジョン・フォード

 

 抜き出してて思ったが、ちょっとみんな選ぶ映画が味気なさすぎでる。こういう『ベスト10』の楽しみって、その人の思想なり嗜好なりを知れることにあるのに、人格を感じさせないチョイスが多い。『市民ケーン』とか『8 1/2』とか『羅生門』とか『東京物語』とか『アタラント号』とか、そんなんばっかり選んで、何を言いたいのだろう。か。「名作」を抜き出しただけのリストほどつまらないものはない。もっと趣味嗜好を反映させたリスト(例えばこういうやつ)が見たかった。まあ、コラムの方が充実しているので、そっちをメインに読めばいいと思う。

 

映画監督のお気に入り&ベスト映画

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