「逆張り」の魅力と意義

 どうも~。ふらぐめんつの藤山と申します。会社員やりながらコントとか書いたりしていま~す。

 最近、2冊本を読んだんですが、その2冊がテーマ的に似ているんじゃないかなと思い、また自分がよく考えていることにも近いということで、今回取り上げさせてもらいたいと思います。

 1冊目がね、綿野恵太『「逆張り」」の研究』。これがどういう本かというと、「本書は、逆張りくんとからかわれ、逆張り特集の逆張り担当に指名された、逆張り当事者による逆張りの研究である。逆張りの、逆張りによる、逆張りのための研究である」という風にまえがきに書いてあるんですね。

 まあ、その、「逆張り」という言葉がいかに定義なく使用され、意味合いが変化していったかということを、主に作者の周辺から具体例を提示しつつ時代ごとに辿っていく、そういう本ですね。簡単にいえば。

 題名に「研究」とありますけど、本人も言っている通り「エッセイ」なんで、結構パーソナルなことが書いてあってそこも興味深かったですね。実は、綿野さんとは一時期O田出版というところで一緒に働いていたことがあったんで、余計に私小説的な読み方をしたところもあったかもわからないですが、一番筆が乗ってるのもそういう部分だとそういう部分であると言わざるを得ない可能性がございます。

 本書では、様々な「逆張り」の用法が挙げられていて、不肖・藤山も自他共に認める「逆張り人間」をやらせていただいているんですが、自分が理想としている「逆張り」というのがあって、勝ち筋の見えない逆張り、こういうのに強く惹かれてしまいますね。本書の中でも扱われてますけど、「こいつと反対のことを言っておけば安心だ」みたいなそういう最初から支持者や共感者が見えてしまっている脳死逆張りはつまらないんですね。あなた言ってやったぜみたいな顔してるけど、めっちゃ周囲に目くばせしてますやん、みたいな。笑いの世界で言えば、ベタに対してベタで返すような感じなんで。

 自分がなぜ「逆張り」をするのかというと、他人の作った文脈に乗っかりたくない、というのが非常に大きいですね。小松海佑の言葉を借りるなら、「大勝負でもあり、強がりですよ」と。なので、ワイが逆張りするときは、僕の前に道はない 僕の後ろに道はできる だけど誰もついてこない、そういう感じで行きたいと思ってるんですよね。最初に下心ありきの逆張りってめちゃくちゃ醜いですから。

 というわけで、2冊目の紹介に行きたいんですが、これが柴崎裕二『ポップミュージックはリバイバルをくりかえす』ですね。

 これは今年読んだ本のなかで最も知的興奮をもたらしてくれた一冊です。サブタイトルに「『再文脈化』の音楽受容史」とあるように、ミュージシャンが過去に蓄積されてきた音楽遺産を、どのように解体し、自分の音楽に取り入れてきたかということを、豊富な実例を挙げて解説しているんですが、「こことここが繋がっていくのか!」という、まるで手品の種を見せてもらっているかのような読書体験でした。

 えー、ではここで「逆張り」というテーマに無理やり繋げさせていただきますが、本書を読んだ限り、ミュージシャンという人種も、結構逆張り的な選択をしていることが多いんじゃないかなと。基本、もうみんなが忘れ去ってしまったようなものを、リバイバル(=再文脈化)しようとするんですよね。

 例えば、1990年代に発生したオルタナカントリーというジャンルがあるんですけど、それなんか逆張りの最たるものだと思います。

 

 オルタナカントリーは、先行するオルタナロック世代のバンド、例えばリプレイスメンツなどの影響が特に大きかったとされるが、その根底には、「カントリーミュージックの失われてしまった(忘却されてしまった)カウンター性を取り戻す」という姿勢が滲んでいた。

 これは、かつて1960年代末に現れた初期カントリーロックの理念とも重なり合うものであり、実際にオルタナカントリーのプレイヤー/ファンともども、グラム・パーソンズをその始祖として崇拝する傾向があった。1990年代のポップな主流カントリーが「産業にその本質を骨抜きにされたカントリー」であるとすれば、オルタナカントリーはそれへのアンチテーゼであり、かつてカントリーミュージックの生命力をロックという「反権威」と接合することで賦活したパーソンズこそは、直系の先祖ということになる。(柴崎裕二『ポップミュージックはリバイバルをくりかえす』p88)

 

 ここで取り上げられているUncle Tupeloというバンドは、1987年に活動を開始しているんですけど、やっぱりその時代にカントリーを取り入れようと思ったのが、僕的にはすごく良い「逆張り」なんですよね。今同じことやってもWilcoの影響力がまだまだ強いんで大して「逆張り」にならないですけど、1990年前後にインディー・ロックのフィールドでカントリーを取り入れるって、相当強い意思を持ってないとできないことですから(細かいことを言うと、The Mekonsのような先駆者はいたけど)。

 ワイの好きなバンドでBlack Flagっていうハードコア・パンク・バンドがいるんですけど、この人たち最初はいかにもパンクっぽい2分未満の早くて短い曲を演奏していて、それですごく持て囃されていたんですが、ある時思想的には真逆にあるはずのヘヴィー・メタルを取り入れるという、パンク・ファンを振り落とすような「逆張り」をして、それがすごくかっこよかったんですね。そういう「支持する人間はいないかもしれないが、やりたいことをやる」っていう姿勢にすごく惹かれてしまいますね、ぼかぁ。だいたいそういう人が歴史変えてますから。

 結局、なんの話がしたいかというと、バランスの話なんですね。みんながみんな「順張り」して、同じ方向を向くと、世の中のバランスがおかしくなってしまいますから。なにか起きた時、全員が沈みますから。なので、ワタクシも微力ながらこれからも積極的に「逆張り」に励まさせていただく所存でございます。ありがとうございました。

 

 

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ビートたけし『みんなゴミだった』

 突然ですが、ここでセックスの話をしたいと思います。セックスって知ってますか? 異性ないし同性同士が主に裸で行うアレね。自分の場合、主に風俗という桃色のフィルターを通して行うことが多いんだけど、人生で一度も没入感を得たことがない。一番興奮するのが、ホテルで相手を待っているとき。そこがピーク。実際にやりましょうとなったら、最初の5分ぐらいでもう飽きてる。「早く終わらねーかな」としか思っていない。それでも、金がもったいないし相手のこともあるから、残りの50分は熱中しているふりをしているんだけど、気持ちが完全に降りちゃってるから(©ミームを考える)、性行為をしている自分を俯瞰してみちゃってるんだ。そうすると、セックスという行為が冗談にしか思えなくて、ますます気持ちが離れていく。だから、一度風俗に行くとしばらくはそのことが頭をよぎって、セックス自体がどうでもよくなり、もっぱらオナニーで満足するんだけど、やっぱり半年ぐらいすると喉元過ぎれば熱さを忘れるで、風俗の予約をして、また最初に戻るんだよね。

 結構前にビートたけしの『みんなゴミだった』っていう本を読んだんだけど、たけしもそんな感じらしいよ。やっぱ、俺とたけしは発想が近いわ。

 

 ところが、コーマンっていうやつは男と女がいきなりハダカになってやらなくちゃならないもんだし、そのやってる最中の格好とか、口走ってることとかって、すごい滑稽なんだ。

 だからセックスっていうのは、ギャグの宝庫になってる。ネタは無限に埋蔵されてる。(ビートたけし『みんなゴミだった』)

 

 たけしが書いた本って、(本人が書いてない物も含めると)相当出てるけど、彼の思考が一番露骨に表出しているのが、この『みんなゴミだった』じゃないかな。とにかくニヒリズムというか諦念というか、常に一歩引いたところから世界を眺めていて、読み終わるとちょっとした虚無感に襲われる代物なんだ。

 たけしという人は非常に屈折していて、ロマンティスト的なところもあるんだけど、表層的にはシャイだから、そういうところを「ボケ」や「露悪」で隠そうとするんだよね。特にこの本の場合、露悪の方向性がかなり強くて、そこがうんざりする人もいるだろうな。

TAKESHIS'』っていう映画では、売れない俳優「北野武」と大物芸能人「ビートたけし」を並置する手法をとっていたけど、『みんなゴミだった』を読むと、売れてなお、何者でもなかった新宿時代を引きずっているがよくわかるね。一歩間違えれば自分も「ゴミ」になっていたんじゃないかっていう不安と、自分はそういう連中とは違ったから成功したというプライド、この両方に足を突っ込んでいるのが、たけしという人間の矛盾であり魅力になっているんだよ。本では新宿時代の「文科系コンプレックス」を告白しているけど、成功したからこそ言える言葉なんだろうね。

 で、話をセックスとギャグに戻すんだけど、実は俺も風俗のネタを書いたことがあるんだよな。「丁寧すぎる風俗客」っていうネタなんだけど、いつか映像化したいなって思ってる。多分Youtubeには載せられないから、どっかのスペース借りて、上映会方式でやりたいね、っていう宣伝でした。

 

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お笑い行為展覧会(日記)

 先月、自分が企画したライブが終わり、時間ができたので、他人のライブを観に行こう月間にしようと思い、積極的に外出している(※当社比)。なにせここ10年ぐらい土日に家から出る用事が皆無だったので、週1回予定を作るだけで、自分としては相当な運動量となっている。

『電王・馬肉かなめのM-1対策させないライブ』を9/30に観た。電王の謹製さんは『妖女hocoten』に出演してくれた人であり、馬肉さんはわざわざ観に来てくれた人である。

 ライブのコンセプトとしては、M-1用のネタを披露・ブラッシュアップしにきたコンビの邪魔をすべく、電王と馬肉さんが合間に場をかき乱すようなネタをするというものだった。そのためか、一発目に披露された電王のネタは直球の下ネタだった。

 ライブで一番暴れていたのは馬肉さんで、替え歌・コント・一発芸を披露していた。コントでは、クラブの跡地に業務スーパーを建てるというバカバカしい世界観を大真面目にやりきっていて、劇団ひとりを彷彿とさせるような演技力だった。

 また、一発芸は、ドライアイスを口に含み、ちいかわの書かれたボードに向けて煙を吐くという過激なものだったが、芸に入る前「ドライアイスがほとんど溶けてしまいました!」というセリフから始まったため、会場にいる誰もが「そういうコントなのね」と思った瞬間、小石ぐらいまでに溶けたドライアイスをためらうことなく口の中に放り込んだので、さっきまで爆笑していた客席からは壮絶な悲鳴があがった。ライブ終了後のエンディングでは、ドライアイスの舐め方(舌の薄皮は剝がれるがすぐに再生するらしい)とゴキブリコンビナートの出し物である「狂ったOL」の話をして、会場を圧倒していた。

 10/7は『16F2 or 32F』を観た。「警備員とニシブチによる『ジュウロッカイ』でのネタライブ第2弾」とのことだったが、警備員の体調不良によりニシブチのピンネタライブ『32F』が当日は開催された。

 ニシブチ氏はピンネタを人前で披露したことがないということだったが、そんなことを微塵も感じさせないほどの演技力と密度のあるネタだった。自分も人にピンネタを提供した経験を持っているが、コンビでのネタに比べると明確な笑いどころやストーリーの展開を作るのが難しく、非常に難儀したのだけれど、ニシブチ氏は会社勤めをしながら2週間(三分の一は11時帰宅)で書き上げたというのだから恐ろしいですね。

 ご本人は「『人間らしくない』とか『コンピューター』とか揶揄されることも多い」らしいが、今回披露されたネタの多くは、急遽ピンになってしまった状況を織り込んだ、めちゃくちゃ人間味溢れるものだった。そういった経緯を知らなくても面白いが、できればニシブチ氏のnoteを読んでから見たほうがよい。普段感情を出さない(と思われている)人がこういうことをやるからこそ、グッとくるのだと思う。

 ライブの構成も、最後とあるストーリー仕立てになっていて、残念ながら思い通りにはいかなかったけれど、次の「ジュウロッカイ」or「ハチカイ」の単独ライブにつなげてほしいですね。

 惜しかったのは会場(高円寺ジュンジョー)の構造上、後ろの席にいると映像や小道具がほとんど見えなかったこと。そこだけが残念だった。

twitcasting.tv

 

 

 

ふらぐめんつ第一回コント公演『妖女hocoten』

 Yo! What's up "bro"!

 東京は今何時ですか?

 私は今埼玉からこれを書いています。

 宴もたけなわではございますが、ここでご報告がございます。

 来る9月23日(土)~9月24日(日)、しもきたドーンにて単独ライブを開催することになりました。

t.co

 ステージナタリーにも情報載せてもらいました。

natalie.mu

 人生で一度はナタリーに載りたいなぁ、と思っていたら、案外あっさり載せてくれたのでびっくりしました。これでもう思い残すことはないですね。人生の最大の目標をクリアした、そんな感じです。今までありがとうございました。デジタルタトゥーにならないよう今後は立ちしょんなどを控えたいと思う所存でございます。

 

 というわけで、このライブを開催することになった経緯について手短に公表します。

 元々自分はお笑いのネタを一人で書いていたのですが、それを実演する人間がいないというちょっとした悩みがあり、そこをXで相互フォロワーだった劇団「地蔵中毒」のhocotenさんに相談したところ、立川がじら(劇団「地蔵中毒」)・尾形悟(マグネットホテル)・謹製(電王)という個性、知性、品性、感性がダダ漏れな面々を集めてくれました。

 また、hocotenさんには、演者集めだけではなく、スタッフ集め、稽古場探し、演出、フライヤー作成諸々を手掛けていただき、今のところ自分は置かれた場所で咲いているだけの存在となっております。この場を借りてお礼申し上げます。

 

 今回なにをやるのかというと、公演のタイトルにもある通り、コントです。お笑いです。しもきたドーンという会場選びにもその思想が根強く反映されていますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 ステージ上で脱糞する田口トモロヲ的なパフォーマンスはありませんが、課長の人体が裏返るコントはあります。あと、メリケンサックとイヨネスコも登場します。コント8本、映像1本で、だいたい1時間ぐらいの公演を予定しています。

「第一回コント公演」とある通り、今回がふらぐめんつとして初の単独ライブとなります。というか、自分の書いたものを人前で披露すること自体初めてとなります。なので、2023年9月9日02時30分時点で、私の書いたネタを生で見た人間はいません。そのため、どんな雰囲気なのか非常に分かりづらいと思うので、私が好きなネタを参考までにあげておきます。こういうのが好きな人間が作るネタだと思っていただければ不幸中の幸いです。

 

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 はい、というわけでね、いろいろ書いてきたわけですが、とりあえず予約してもらえるとありがたい可能性がございます。

 今回の公演は、いわば名刺代わりになるようなものにするつもりです。これを観て面白かったら、ライブなどにお誘いただけると嬉しいです。人生最大の目標という言葉再度を使用させていただきますが、テアトロコントに出れたらいいなぁとか、テーマを決めたライブを作れたらいいなぁとか、まだまだやりたいことはたくさんあります。

 以上です。お忙しいところ、ご確認お願い致します。

 

 ↓以前Youtubeにあげたショートネタです。こちらのチャンネルにも今後ネタを上げていく予定です。チャンネル登録してもらえると、私が喜ぶ可能性がございます。

会社員あるある(ハードコア篇) - YouTube

 

追記

ネタ動画公開されました。

卑屈すぎる小説家

ふらぐめんつ コント「卑屈すぎる小説家」 - YouTube

ふらぐめんつ コント「気の弱い殺し屋」 - YouTube

ふらぐめんつ コント「三者面談」 - YouTube

ふらぐめんつ コント「裏返った課長」 - YouTube

ふらぐめんつ コント「大げさすぎるインタビュアー」 - YouTube

ふらぐめんつ 幕間V「鞄の中身」 - YouTube

 

 

ペアーズのコミュニティで理解できないことベスト3

  突然ですが、今日はマッチングアプリ、ペアーズのコミュニティ機能にまつわる理解できないことベスト3を発表したいと思います。

 あのー、ペアーズというマッチングアプリに、コミュニティって機能があるんですよ。まあ、なんのためにあるかっていうと、人となりをね、よく知ってもらうためというか、文章にすると面倒くさいことでも、例えば「お笑いが好き」とか「タバコ・ギャンブルしません」とか「幽霊の存在を信じる」とかそういうコミュニティに入ることで「わたしこういう人間です」と気軽に自己主張できるんですよね。まったく労力をかけずに、何の努力もなしに、鼻くそををほじりながらでも、「わたしこういう人間です」と主張できるんですよね。コミュニティ機能を使うと。

 つまり、センスの問題なんですわ、コミュニティって。どんなコミュニティに入るか、あるいは入らないかで、その人のセンスが問われるわけで、戦争はそこから始まっているんです。ペアーズは恋愛を目的としたマッチングアプリだから、コミュニティ一つで足切りにあったりするわけなんですよ。まあ、それをどこまで意識的にやるかは、人によって濃淡ありますけど。

 ちなみにだけど、俺は女の子と初めて会うまでに、相手が入ってるコミュニティ──全部はいいすぎだけど──8割は記憶していきます。英単語覚えるみたいにカードに書き出して電車の中で毎日黙読してます。デート前日は、ルーズリーフにコミュニティを1個につき100回書いて頭に叩き込んでます。ま、それぐらいの努力は当然ですわな。

 

 はい、とういうわけで、ランキングのほうに移らせていただきます。

 

 第3位。「コミュニティのバランスがおかしい人」

 俺の場合でいうと、入るコミュニティの数、全部で60個って決めてるんですわ。なぜ60個かというと、まあ科学的な裏付けがあるわけじゃないけど、それぐらいが少なすぎず多すぎない感じだから。

 例えば、あまりに少なすぎると、人となりが見えてこない。もしくは非常に浅い人間に見えてしまう。温度感が全然伝わってこないから、業者にしか見えないんだよ。国際ロマンス詐欺の人にしか見えないんだよ。「旅行が好きです」っていうコミュニティにだけ入ってても、それだけだと人間性見えてこないじゃん。「沿ドニエストル共和国が好き」とか「アブハジア共和国最高!」とか「南オセチア共和国の存在を認めよ」まで言わないと人間性まるで見えてこないじゃん。

 逆にね、100個も200個もコミュニティ入ってる人がいるんだけど、そこまでいくと個性が散らかり過ぎなんだわ。好きなものが多すぎて、焦点が定まってないのね。結局あなた何が好きなんですか?と思っちゃうわけ。単純に全部見るのも大変だし。スクロールしてもスクロールしても終わらないとさ、「ええかげんにせえよ」ってエセ関西弁で突っ込んじゃうじゃん。マッチングアプリなんだからさ、重要なのは相手からどう見えるかということでしょ。そこを考えずに100個も200個もコミュニティ入っちゃうのは、ちょっと客観性が足りないんじゃないかな。

 俺はね、そのへんをめちゃめちゃ意識してて、例えば、マイブラ、マイ・ブラッディ・バレンタインのコミュニティに入ったら、ライドのコミュニティは入らないのよ。
なぜなら、マイ・ブラッディ・バレンタインのコミュニティに入っているだけでシューゲイザーが好きであるということはだいたいわかるじゃん。わざわざスワーヴドライバーとかチャプターハウスのコミュニティに入る必要ないじゃん。

 もちろんさあ、ハウス・オブ・ラブがめちゃくちゃ好きなら入ってもいいよ。だけど「そこそこ好き」ぐらいのレベルだったら、同じジャンルのコミュニティは一番好きなものに統一しようぜ!

 俺はそうやってコミュニティの数を調整してるっていう話をマッチングアプリで会った女にしたら、「頑張ってますね……」とドン引きされたことがあります。

 

 はい。第2位に行きたいと思います。

 

 第2位は、「誤字ってるコミュニティに入っている人」

 あのさ、さっきもいったけど、コミュニティっていわばセンスじゃん。自分のセンスを主張する場のわけじゃん。

 それなのに誤字に気づいていない。その詰の甘さね。うろおぼえで、コミュニティに入るんじゃないよ!

 特にさ、センスを如実に表したコミュニティ、文化系の、これに入ってたらちょっと通っぽいやつ、そういうので誤字を見逃すのが一番恥ずかしい。そうだろ?

 まずは、菊地成孔ね。菊地成孔の「地」が「池」になってる。そもそも、これ間違いとしてはかなりポピュラーな奴なんで、成孔に限らずキクチという名字に対しては、どっちなのかなって警戒するじゃないですか。なのに、それをスルーしているという。こういう人は、メールとか気をつけてください。名前間違えて送ってる可能性ありますから。セルフチェック、ダブルチェック必ずしてください。事故になる前に。同類の間違いでは、「安部」公房もあります。

 あとね、特に声を大にして言いたいのが、脚本家の坂元裕二。坂元のモトが本、ブックになっちゃってるコミュニティがあるんだ。坂元裕二が好きだというその繊細な感性でさ、そこを見逃すのはアウトだろ!

 これしかも600人ぐらい間違ってるんだよ。正しい方のコミュニティが900人程度に対して、600人もまちがちゃってるんだよ。あれだけ有名になっても、ファンの約40%が漢字間違ってんだ。

 そもそもさあ、サカモトって名字は、巨人の坂本とか坂本龍一みたいに、「本」のほうがポピュラーなわけじゃない。それが、「元」っていう漢字を使っているってことはさあ、そこで一捻りはいってんのよ。サカモトっていうわかりやすさの中に、絶妙なひねりはいってんのよ。

 このひねりこそ、坂元脚本の魅力じゃないの! サカモトのモトにすべての本質つまってんのよ。そうでしょ! まあ、俺は坂元裕二の作品を一本も見たことないから、評判だけで語っているけど。

 

 では、第1位の方に行きたいと思います。

 

 えー、1位はですね、「コミュニティに自分の思想を入れる人」です。

 あのー、コミュニティ作るときさ、好きなアーティストのコミュニティを作るってなったらさ、その人の名前やグループ名だけでいいわけじゃん。サルバドール・ダリとか、ガンダムとかさ、それだけで伝わるわけじゃん。

 なのにさ、そこに自分の思想を入れ込むやつがいるんだわ。「楳図かずおは天才」とか。

 楳図かずおが好きだったとしてもさあ、天才かどうかはこっちが決めるんだわ。勝手に色をつけるんじゃないよ。お前の独自研究が入り込んじゃって、そのコミュニティに入ったら、俺までそれに賛同してるかのように見えんじゃん。な?

 だけどさ、そういう独自研究入っちゃってるコミュニティの方が、フラットなコミュニティよりも、人気があったりするんだよ。そしたらさあ、女の子と少しでもマッチングする確率上げるためには、作成者の思想が入ってる方に入らざるをえないわけじゃん。

 だって思想の入ってる楳図かずおのコミュニティとそうじゃないコミュニティだと、女の子の数が10倍違うのよ。そこはもう妥協するしかないでしょ。

 両方入ればいいじゃんって、俺はさ、コミュニティ60個にしぼってんだから、そんな無駄なことできねーのよ。男の美学としてな。

 それでな、俺が一番これは独善的だなと思ってるのが、「銀魂好きに悪い奴はいない」ってコミュニティね。いるわ。とんでもない極悪人がいるわ。前科40犯ぐらいのやつがさあ。網走とか府中とか行ってみい。ごろごろいるわ銀魂の愛読者が。ジェフリー・ダーマーとか、エド・ゲインとかさあ、影響受けてんじゃねえか、銀魂の。

 もし俺がとんでもない犯罪に手を出して、もうすぐ捕まるとする。そしたら俺は家にあるもの全部処分して、空っぽになった部屋の真ん中に、銀魂全巻置いとくよ。

 テレビもラジオもパソコンも洗濯機も冷蔵庫もベッドも机もないがらんどうの部屋の中に、銀魂全巻置いとくよ! な? 異常だろ? そうしたらマスコミが報道するんだ。加害者の部屋から銀魂全巻だけが見つかりましたって。

 もしくはな、事件現場で、銀魂の22巻、銀魂の22巻を読みながらその場で現行犯逮捕されんだ。マーク・チャップマンが『ライ麦畑でつかまえて』を読んでたみたいに。もうさ、そんなことが起きたら誰も銀魂を同じ目で見られないよな。サイコパスを刺激する要素があるんだ、銀魂には。そういう本になっちゃうんだよ。わかるだろ!


 ちなみにですけど、俺ここまでマッチングアプリについて考え抜いて、4年間でもらったイイネの数、5あるかないかです。
 会ったことあるのも、2人だけですね。2年に1人のペースですね。はい。ありがとうございました。

 

 

 

ギャル概念の大量消費

 あのー、最近、というか一年半ぐらい前から思ってるんだけど、ギャルって消費されすぎだよな。
 実際のギャルというか、ギャルという概念、「」つきのギャルが、一山いくらで石炭のように大量消費されてるな。
 昔から、その、ネットとかでは、「ギャルはオタクにも優しい」みたいな妄想がよくネタにされていたけど、最近はさ芸能から政治まで「ギャル」を浪費しすぎでしょ。安易なんだよ。とりあえずビールみたいな感じで、ギャル投入してくんじゃん。
 そこでさぁギャルに期待されてる役割を簡単に要約すると、「明るくて、バカっぽいけど、こびずに、本質を突く」、そういうことだよな。
 だけどさー、それってもう、飽和しきってんじゃん。ギャルの飽和水溶液じゃん。もうステレオタイプ化してて、何も新鮮じゃないんだ。予定調和の中で物事が進んでるんだ。しかもそれを面白がれないと遅れてるみたいな空気まであるでしょ。
 暗くて地味で当たり障りのないことしか言わないギャルがいたら、そっちのほうが今じゃラディカルだよ! 本当にいるかもしれないよな、そんなギャルだって。
 だから、わたくし、実際に調査してまいりました!
 新宿にですね、「クラブシーンでの出会い」をコンセプトにしたお店がありまして、90分3万円でギャルと会うことができるんですね。
 簡単に言えば、デリバリーヘルスというやつなんですけども。
 サンプルを得るにあたって、一番ノイズが少ない環境はどこかな~ってことを考えると、やっぱり身分を隠したうえで本音を聞ける、そういう条件を満たしているのは風俗以外ないんじゃないかと、そんな結論に至ったわけです。
 当たり前ですけど、あくまで文化人類学的な研究、フィールドワークとして、マーガレット・ミードがサモアに行ったのと同じで、まったく性欲的なものではございません。純粋に研究目的として、デリバリーヘルスを選択したわけです。
 もちろん、そういう場所でセックスしないのは、逆におかしいですから、逆に不審者になってしまいますから、セックスはしてます。
 だけど、あくまで研究のためのセックスですから。快楽を目的としていませんから。生理現象としての射精ですから。キンゼー報告やハイト・レポートと同じ目的意識を持っていますから。
 そこを皆さんにはね、なにとぞなにとぞご理解いただきたいなと。


 というわけでね、当日はね、歌舞伎町のラブホテルにヴィヴィちゃんという、いわゆる「黒ギャル」をお呼びして、まぁ上から下まで念入りに調査したわけですよ。やっぱり、3万払っているわけだから、そこはおざなりにはできないですわ。オプションにローション風呂をつけたんだけど、浴槽ですべって溺れかけたりしてね。
 それで、聞き取り調査も念入りに行ったわけですけど、一番印象に残った言葉が、「眼鏡とると韓国の俳優に似てる」っていうやつね。
 俺の知ってる韓国の有名人って、イ・スンマンとかパク・チョンヒとかキム・ギドクしかいないから、全然ぴんと来なかったんだけど、あとでググったら、そこはね、本質をついてると思ったね。さすがに。うん。客にこびてないからね、ギャルは。本心から出た言葉なのよ、それは。
 あと気になったのはね、彼女のつけ爪が長すぎるんだよな。シザーハンズみたいになっちゃってて、ビニール袋に入ったタオルとか取り出せないんだ。手コキされてるときとかも、ちんちんが剪定されるんじゃないかって気が気じゃなかったよね。
 そういうディティールがさ、今後ギャルを描くうえで大事になってくるんじゃないの。やっぱり。実際に接しないとわからないよね、こういうことは。
 それで、調査終わって一週間ぐらいしてからかなー、急にちんちんの先が痛くなったのよ。前日オナニーした時にばい菌でも入ったのかなと思ってトイレで確認したら、膿が出てたんだな、パンツの中に。それで、新宿のクリニックに駆け込んで検査したら、淋病ですと。で、もらった飲み薬があのファイザーが作ったジスロマック
 ファイザーつったら新型コロナのワクチンですっかり有名になっちゃったけど、俺はその2年ぐらい前からお世話になってたんで。淋病の薬作れんなら、ワクチンぐらい簡単に作れんだろと思ってニュース聞いてましたね。はい。
 まぁ、結局ですね、みんなギャルギャル言っても、リアルを知っている人はほとんどいないっちゅー話ですわ。
 ギャルブームに今から乗っかろうとしているやつもいると思うんだけど、もうすでにレッドオーシャン化してますから、ちょっとやそっとのことじゃ目立たないですよ。
 だからね、もっとリアリティを出したギャル、つまり「淋病ギャル」というキャラでいくのがおすすめですね。これなら誰もやってないですから。

 

 

 

 

(ようやく)お笑いの仕事始められました

 コントのネタを初めて書いたのは6年ぐらい前だ。「これは面白いかもしれない」と思いついたことを、コンビによるコント形式で書いてみたのだが、人生の9割を家の中で過ごすほど超インドアな自分には、それを具体的な形にする手立てがなく、だけどそのままうっちゃっておくのももったいないので、カクヨムという小説がメインの投稿サイトに載せておいた。

 もちろんなんの反響もなく、アクセス数を見てみると、5年経過した時点でヒトケタという、明らかに自分しかそれを読んでいない、インターネットの海の底の底に沈んでいるというありさま。

「やっぱり誰かにやってもらわないと最低限の反応も得られないなあ」と思っていたものも、LINEの友人が家族を含め10人以下の自分には、どうすれば芸人と知り合えるのかわからなかった。

 風向きが少し変わったのは、去年の4月に第一回漫才脚本大賞で優秀賞をとったことだ。この賞は漫才の「脚本」だけで審査するというもので、自分が心から待ち望んでいたものだった。お笑いをやるような人は自作自演が普通なので、こうした賞への需要がこれまでなかったのだろう。

 ようやくチャレンジできる場所を与えられ、それに応募した結果、優秀賞(最終選考の6人までに残った)をとることができた。ちなみに、大賞をとった人の名前をぐぐったら、テレビ朝日のディレクターの人だった。

 これまでなんの肩書もツテももっていなかった自分だが、これを名刺代わりにしてやるしなかいと決意し、まずは「お笑い相方募集掲示板」というサイトで宣伝を始めた。この掲示板は、東京ホテイソンというコンビの結成場所になったことで有名だが、逆にいうとまだその二人しか結果が出ていない場所でもある。現在お笑い芸人を目指す人は、たいがいが学校時代の友人・知り合い、もしくは芸能事務所の運営する養成所で見つけてしまうので、わざわざこんなところで探すということは常道から外れているということになる。つまりそれだけ変な人が集まりやすいのだ(東京ホテイソンYoutube参照)。なにしろ、2022年になってもUIが2000年代のレベルにとどまっているというシンプルさ。まあ、それ以上のことが必要ないこともあるし、流行のマッチングアプリのようにこだわった物を作ろうとしてもお金にならないから、競合もなかなか現れないのだろう。

 幸い(?)自分は、この掲示板でやばい人には出会わなかったが、俺が会った人から聞いた話だと、手の震えが止まらないほどのアル中で、恥ずかしいからネタができないとのたまう人がいたとか。

 しかし、結論を言うと、俺はこの掲示板をうまく使えなかった。そもそもが「相方」を募集しているところなので、ネタをやってくれるコンビを探している人間に入る隙間はあまりなかった。多くの人間に掲示板経由でアプローチし、ほとんどが無視に終わった。ようやく一人と会い、数カ月後にまた一人探し出して、すわ軌道にのるかと思いきや、一人が辞めてしまうということもあって、計画はポシャった。

 だが、去年の12月一通のメールが届いた。ワタナベエンターテインメントに所属するバッドナイス常田さんからだった。きっかけは俺が常田さんのネタをYoutubeで見て、「この人のネタを書いてみたい」と思い、勝手に書き上げたものを事務所に送ったことだった。そして、それを読んだ常田さんが連絡をくれたのだ。

 それから、年末に一度会い、今年に入ってから本格的にネタの打ち合わせなどをしている。先週Youtubeで公開された「【コント】絶対いそうで いなさそうなアウトな営業マン」では、養命酒の部分の原案を担当した。俺のネタが生まれて初めて形になった瞬間だ。常田さんとの仕事は今後もバシバシ公開される予定なので、チェックしてほしい。

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 今年はこうしたお笑い関係の仕事を頑張っていく所存である。できれば、自分でもYoutubeのチャンネルを立ち上げ、コントなどの動画をあげられたら最高だ。そのために、自分の知名度を上げていきたい。なにしろ人を集めるのがネタを書くよりも大変だから。

 

カクヨムで公開しているネタ

ジャンボ尾崎手配犯(@hayasiya7) - カクヨム

 

最近はお笑いの勉強をすべく、芸能関係の本をよく読んでいる。以下、面白かった本