お笑い行為展覧会(日記)

 先月、自分が企画したライブが終わり、時間ができたので、他人のライブを観に行こう月間にしようと思い、積極的に外出している(※当社比)。なにせここ10年ぐらい土日に家から出る用事が皆無だったので、週1回予定を作るだけで、自分としては相当な運動量となっている。

『電王・馬肉かなめのM-1対策させないライブ』を9/30に観た。電王の謹製さんは『妖女hocoten』に出演してくれた人であり、馬肉さんはわざわざ観に来てくれた人である。

 ライブのコンセプトとしては、M-1用のネタを披露・ブラッシュアップしにきたコンビの邪魔をすべく、電王と馬肉さんが合間に場をかき乱すようなネタをするというものだった。そのためか、一発目に披露された電王のネタは直球の下ネタだった。

 ライブで一番暴れていたのは馬肉さんで、替え歌・コント・一発芸を披露していた。コントでは、クラブの跡地に業務スーパーを建てるというバカバカしい世界観を大真面目にやりきっていて、劇団ひとりを彷彿とさせるような演技力だった。

 また、一発芸は、ドライアイスを口に含み、ちいかわの書かれたボードに向けて煙を吐くという過激なものだったが、芸に入る前「ドライアイスがほとんど溶けてしまいました!」というセリフから始まったため、会場にいる誰もが「そういうコントなのね」と思った瞬間、小石ぐらいまでに溶けたドライアイスをためらうことなく口の中に放り込んだので、さっきまで爆笑していた客席からは壮絶な悲鳴があがった。ライブ終了後のエンディングでは、ドライアイスの舐め方(舌の薄皮は剝がれるがすぐに再生するらしい)とゴキブリコンビナートの出し物である「狂ったOL」の話をして、会場を圧倒していた。

 10/7は『16F2 or 32F』を観た。「警備員とニシブチによる『ジュウロッカイ』でのネタライブ第2弾」とのことだったが、警備員の体調不良によりニシブチのピンネタライブ『32F』が当日は開催された。

 ニシブチ氏はピンネタを人前で披露したことがないということだったが、そんなことを微塵も感じさせないほどの演技力と密度のあるネタだった。自分も人にピンネタを提供した経験を持っているが、コンビでのネタに比べると明確な笑いどころやストーリーの展開を作るのが難しく、非常に難儀したのだけれど、ニシブチ氏は会社勤めをしながら2週間(三分の一は11時帰宅)で書き上げたというのだから恐ろしいですね。

 ご本人は「『人間らしくない』とか『コンピューター』とか揶揄されることも多い」らしいが、今回披露されたネタの多くは、急遽ピンになってしまった状況を織り込んだ、めちゃくちゃ人間味溢れるものだった。そういった経緯を知らなくても面白いが、できればニシブチ氏のnoteを読んでから見たほうがよい。普段感情を出さない(と思われている)人がこういうことをやるからこそ、グッとくるのだと思う。

 ライブの構成も、最後とあるストーリー仕立てになっていて、残念ながら思い通りにはいかなかったけれど、次の「ジュウロッカイ」or「ハチカイ」の単独ライブにつなげてほしいですね。

 惜しかったのは会場(高円寺ジュンジョー)の構造上、後ろの席にいると映像や小道具がほとんど見えなかったこと。そこだけが残念だった。

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