ギャル概念の大量消費

 あのー、最近、というか一年半ぐらい前から思ってるんだけど、ギャルって消費されすぎだよな。
 実際のギャルというか、ギャルという概念、「」つきのギャルが、一山いくらで石炭のように大量消費されてるな。
 昔から、その、ネットとかでは、「ギャルはオタクにも優しい」みたいな妄想がよくネタにされていたけど、最近はさ芸能から政治まで「ギャル」を浪費しすぎでしょ。安易なんだよ。とりあえずビールみたいな感じで、ギャル投入してくんじゃん。
 そこでさぁギャルに期待されてる役割を簡単に要約すると、「明るくて、バカっぽいけど、こびずに、本質を突く」、そういうことだよな。
 だけどさー、それってもう、飽和しきってんじゃん。ギャルの飽和水溶液じゃん。もうステレオタイプ化してて、何も新鮮じゃないんだ。予定調和の中で物事が進んでるんだ。しかもそれを面白がれないと遅れてるみたいな空気まであるでしょ。
 暗くて地味で当たり障りのないことしか言わないギャルがいたら、そっちのほうが今じゃラディカルだよ! 本当にいるかもしれないよな、そんなギャルだって。
 だから、わたくし、実際に調査してまいりました!
 新宿にですね、「クラブシーンでの出会い」をコンセプトにしたお店がありまして、90分3万円でギャルと会うことができるんですね。
 簡単に言えば、デリバリーヘルスというやつなんですけども。
 サンプルを得るにあたって、一番ノイズが少ない環境はどこかな~ってことを考えると、やっぱり身分を隠したうえで本音を聞ける、そういう条件を満たしているのは風俗以外ないんじゃないかと、そんな結論に至ったわけです。
 当たり前ですけど、あくまで文化人類学的な研究、フィールドワークとして、マーガレット・ミードがサモアに行ったのと同じで、まったく性欲的なものではございません。純粋に研究目的として、デリバリーヘルスを選択したわけです。
 もちろん、そういう場所でセックスしないのは、逆におかしいですから、逆に不審者になってしまいますから、セックスはしてます。
 だけど、あくまで研究のためのセックスですから。快楽を目的としていませんから。生理現象としての射精ですから。キンゼー報告やハイト・レポートと同じ目的意識を持っていますから。
 そこを皆さんにはね、なにとぞなにとぞご理解いただきたいなと。


 というわけでね、当日はね、歌舞伎町のラブホテルにヴィヴィちゃんという、いわゆる「黒ギャル」をお呼びして、まぁ上から下まで念入りに調査したわけですよ。やっぱり、3万払っているわけだから、そこはおざなりにはできないですわ。オプションにローション風呂をつけたんだけど、浴槽ですべって溺れかけたりしてね。
 それで、聞き取り調査も念入りに行ったわけですけど、一番印象に残った言葉が、「眼鏡とると韓国の俳優に似てる」っていうやつね。
 俺の知ってる韓国の有名人って、イ・スンマンとかパク・チョンヒとかキム・ギドクしかいないから、全然ぴんと来なかったんだけど、あとでググったら、そこはね、本質をついてると思ったね。さすがに。うん。客にこびてないからね、ギャルは。本心から出た言葉なのよ、それは。
 あと気になったのはね、彼女のつけ爪が長すぎるんだよな。シザーハンズみたいになっちゃってて、ビニール袋に入ったタオルとか取り出せないんだ。手コキされてるときとかも、ちんちんが剪定されるんじゃないかって気が気じゃなかったよね。
 そういうディティールがさ、今後ギャルを描くうえで大事になってくるんじゃないの。やっぱり。実際に接しないとわからないよね、こういうことは。
 それで、調査終わって一週間ぐらいしてからかなー、急にちんちんの先が痛くなったのよ。前日オナニーした時にばい菌でも入ったのかなと思ってトイレで確認したら、膿が出てたんだな、パンツの中に。それで、新宿のクリニックに駆け込んで検査したら、淋病ですと。で、もらった飲み薬があのファイザーが作ったジスロマック
 ファイザーつったら新型コロナのワクチンですっかり有名になっちゃったけど、俺はその2年ぐらい前からお世話になってたんで。淋病の薬作れんなら、ワクチンぐらい簡単に作れんだろと思ってニュース聞いてましたね。はい。
 まぁ、結局ですね、みんなギャルギャル言っても、リアルを知っている人はほとんどいないっちゅー話ですわ。
 ギャルブームに今から乗っかろうとしているやつもいると思うんだけど、もうすでにレッドオーシャン化してますから、ちょっとやそっとのことじゃ目立たないですよ。
 だからね、もっとリアリティを出したギャル、つまり「淋病ギャル」というキャラでいくのがおすすめですね。これなら誰もやってないですから。