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R・W・ファスビンダー 『エフィー・ブリースト』

 15日に、アテネフランセ文化センターで観たが、あまり関心しなかった。ファスビンダーの問題というよりかは、フォンターネの原作がどうしよもうなく古びているのだと思う(トーマス・マンは絶賛し、ベケットは『クラップの最後のテープ』で言及しているが)。

 物語の簡単な筋としては、親の取り決めで、十七歳の時に二十歳年上のある男爵と結婚した女(ハンナ・シグラが演じているのだが、とても十七歳に見えない)が、夫の赴任地であるケッシンという名の田舎町で暮らし始めるも、家に幽霊が出ると思い込んだり、生真面目な夫や刺激のない町に大きな退屈を感じたりしている内、夫の友人である少佐と逢い引きを重ねるようになるというもの。この少佐から受け取った恋文が、転勤でケッシンから離れた六年後に発見されてしまい、男爵は少佐に決闘を挑み、少佐は死ぬ。シグラは別居を余儀なくされ、一瞬社会に対する呪詛を吐き出すシーンがあって反抗を試みるのかと思いきや、その後すぐに病気となり、そのままあっけなく病死する。

 さて、今や、先進国では恋愛結婚を「是」とする空気が主流となっている。さらには晩婚化も進んでいる。そうした時代において、因習的結婚が主流だった時代の、因習的結婚を「悪」として捉えた作品が古臭く見えるのは当然だろう。フォンターネの原作が出版されたのは1896年。同じく、因習的結婚を批判したイプセンの『人形の家』が1879年。有名なイプセンの作品だって、今となっては、どれほどリアリティを感じられるのか怪しいものである。

 まあ、今度boidから出版される『ファスビンダーファスビンダーを語る』の第2巻・第3巻で、ファスビンダーの原作に対する意見も読めるのだろう。映画そのものより、そっちのほうが興味深いかもしれない。

 

罪なき罪―エフィ・ブリースト (上) (岩波文庫)

罪なき罪―エフィ・ブリースト (上) (岩波文庫)

 

   

罪なき罪―エフィ・ブリースト (下) (岩波文庫)

罪なき罪―エフィ・ブリースト (下) (岩波文庫)