読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

野球選手とメディア

 日本ハムファイターズが優勝した。

 ファイターズ・ファンの俺としては嬉しいことだ。

 そんな中で気になったのは、メディアの注目が大谷へと異常に集まっていることだ。ニュース記事はもとより、試合中も幾度となくベンチにいる大谷にカメラが向けられた。鼻くそをほじる暇もないくらい、大谷は監視されている。

 前にクロマティの自伝を読んだことがある。『さらばサムライ野球』という本だ。その中で面白かったのは、巨人の選手たちがいかにメディアの目を気にしているか、ということを書いた箇所だ。彼らは試合で活躍すると、次の日、ロッカールーム等で、スポーツ新聞の一面を必ず確認する。大きく扱われていれば嬉しいし、冷淡な扱いをされていれば当然憤慨する。クロマティ自身もしょっちゅう確認していた。

 だが、ここで問題が一つ起こる。メディアとしては、中途半端な選手の活躍よりも、例えば、原辰徳の三振の方を記事にする。スターというのは一挙手一投足全てに注目が集まる存在であり、注目されるからこそスターでもある。活躍したのに取り上げられない選手からすれば、何とも不公平な話だ。だから、当時の巨人では、原に対する嫉妬がチームメイトの間にわだかまっていた。

 大谷についても、ファイターズ内で同じことが起こっているのではないかと、俺は心配している。それを表に出す選手はいないだろうが、どんな試合でも大谷がトップに扱われ、活躍した自分が無視されるという状況に、プライドの高い野球選手がいつまでも耐えられるだろうか。チームメイトは仲間でもあるが、同時にライバルでもある。だが、大谷は最早日本の選手では追いつけないような場所にまで達してしまった。選手たちの大谷に対する反応といえば「あれは別格」というような、半ば賞賛・半ば呆れるといった感じだ。ダルビッシュのファイターズ在籍時代の末期もそんな空気が漂っていた。日本の野球に大谷は収まらなくなっている。来年は日本でプレーするとのことなので、再来年にはメジャーに挑戦してもいいのではないだろうか。俺個人としては、打者でいってほしい。空振りにさえロマンを感じさせる選手は、大谷しかいないからだ。

 

 

さらばサムライ野球

さらばサムライ野球

 

 

 

フィリップ・ロス原作映画ヒット祈願

 今年はフィリップ・ロス原作の映画が二本も公開される。一本はIndignationで、監督は『ハルク』や『ブロークバック・マウンテン』のプロデューサーを務めたジェームズ・シェイマスだ。これが初監督作となる。シネマトゥデイによれば、内容は以下の通り。 

 

 1950年代、朝鮮戦争下のニュージャージー州ニューアークに住む18歳の青年マーカス(ローガン・ラーマン)が、自殺未遂の過去があるオリヴィア(サラ・ガドン)や大学学部長コードウェル(トレイシー・レッツ)と出会ったことから起きる、思いがけない大学生活を描いている。2008年に出版された作家フィリップ・ロスの同名小説を映画化した。*1

  

 もう一本は、『トレインスポッティング』などで知られる俳優のユアン・マクレガーが監督したAmerican Pastoral 。これも初監督作品。内容は以下の通り。 

 

『アメリカン・パストラル(原題)』は、父は学生時代のスポーツヒーローで、成功したビジネスマン(ユアン)、母は美人コンテストの優勝者(ジェニファー・コネリー)という絵に描いたような完璧なアメリカ人一家が、ベトナム戦争に影響されて暴力的な抗議活動に身を投じた娘(ダコタ・ファニング)によって崩壊させられるさまを描いたドラマ。*2 

 

 スター俳優の初監督作品であり、原作がピューリッツァー賞を受賞していることから、American Pastoral の方は日本でも公開されるのではないだろうか。Indignationにも期待したいところ。僕としては、映画が日本で公開され、未訳の原作が翻訳・出版されるのが一番好ましい。

 海外文学は基本的にあまり売れないので、きっかけがないとなかなか翻訳・出版されにくい。「映画原作」の冠は売り文句になるが、肝心の映画がこけると意味がなくなってしまう。まずは、翻訳のために、映画のヒットを願うしかない。頑張れ、シェイマス、マクレガー。

 ロスの作品は、90年代以降に出版されたものが、未訳であることが多い。最近では、村上柴田翻訳堂シリーズの一冊として『素晴らしいアメリカ野球』が復刊されたり、内田樹効果?で、『プロット・アゲインスト・アメリカ』がそこそこ売れたりしたようなので、他の作品にも期待したいところだ。特に全米図書賞受賞作であるSabbath's Theaterや、元妻クレア・ブルームについて書いたと言われるI Married a Communist、自伝的作品The Facts: A Novelist's Autobiographyを読んでみたい。ちなみに、クレア・ブルームにもLeaving a Doll's House: A Memoirというそのものずばりなタイトルの自伝があって、そこでロスとの生活について詳しく書いているようなので、それも翻訳されてほしいなあ。

 

Indignation

Indignation

 

  

American Pastoral

American Pastoral

 

  

Leaving a Doll's House: A Memoir

Leaving a Doll's House: A Memoir

 

 

オルギア視聴覚室

 昨日、池袋のシアター・グリーン(BASE THEATER)で開催された「オルギア視聴覚室」という演劇イベントを観に行った。ツイッターでフォローしている人たちが関わっているということと、小劇場的なものを体験してみたかった、というのが観劇のきっかけである。演劇に疎い人間なので、当然シアター・グリーン自体訪れるのは初めてだったのだが、段差にクッションを置いただけのシンプルな客席は、演者との距離感をぐっと縮めているような感じで、まさに想像していた「小劇場」そのものだ。

 最初の演目は「税金と死と女」(ベンジャミン・フランクリンの言葉からとっているらしい)による二人芝居で、ストロボを使いパラパラを踊った後、女二人が互いの彼氏や性癖について語り始めるという、良い意味で「俗悪」の極みのような内容。「首絞め」、「眼球舐め」という大変刺激的な単語が、真昼間から飛び交う異様な空間の中、二人は話し合いながらどんどん服を脱いでいき、最後には水着のような格好にまでなると、演者の一人であるhocotenさんの露出した胸に「税金」という文字が現れる。悪意だ。

 二番目に登場したのは、東京にこにこちゃん。上下真っ白の衣装を着た男がパイプ椅子に座りながら一人芝居をするのだが、開口一番、大声で「ヒィーヒッヒ」という不気味な笑い声をあげたので、場内が一瞬緊張した。しかし、ネタ自体は真っ当な物で、「相談屋」を職業とする男が、他人の真面目な相談に不謹慎な回答を返すうち、犯罪者ばかりが相談しにくるようになる、というものだった。特に放火魔の悩みに対する回答が一番笑えた。一応、ストーリーもオチもあり、脚本はきちんと完成している。「あっし」という一人称や、過剰な演技が、劇団ひとりを想起させた。

 三番目は、コンプソンズという劇団で、登場人物は四人。「何者」(朝井リョウ?)というタイトルで、就活をテーマにした劇ということだが、印象としては、就活を背景にした「コント」という風だった。女なれしていない男が、「寝る・寝ない」を巡って、元カノの家で激しい攻防を繰り広げるシーンが面白かった。まだできたばかりの劇団らしいが、これから伸びていくような予感がした。

 途中で帰ったので、演目全ては見れていないのだが、見た限りでは「笑い」の取り入れ方が、どの団体も上手かったように思える。小劇場の「今」を知れてよかった。

 

stage.corich.jp

 

 

 

遠山純生編『映画監督のお気に入り&ベスト映画』

 ツイッターでフォローしている人がこの本に言及していたので、図書館で借りてみた。

 中身は、評論家がタランティーノウォン・カーウァイの映画遍歴について書いたものや、エリック・ロメールキアロスタミといった有名監督が映画について書いたエッセイの翻訳(ポール・シュレイダーがヤクザ映画を詳細に分析した評論もある)、そして「世界の一流監督が選ぶオールタイム・ベストテン」といった構成になっている。その他、「映画史年表」や「アメリカ映画 ジャンル&サブ・ジャンル相関図」といったおまけも充実している。

 ここにはメモ的に、「オールタイム・ベスト」の一部を転載しよう。

 

リンジー・アンダースン

『イギリスに耳を傾けよ』ハンフリー・ジェニングス

コレヒドール戦記』ジョン・フォード

東京物語小津安二郎

『歌のレッスン』リンジー・アンダースン他

『我輩はカモである』レオ・マッケリー

『新学期・操行ゼロ』ジャン・ヴィゴ

『優しい人』クロード・オータン=ララ

『大地』アレクサンドル・ドヴジェンコ

若草の頃ヴィンセント・ミネリ

『黄金時代』ルイス・ブニュエル

 

ペドロ・アルモドバル

『イタリア旅行』ロベルト・ロッセリーニ

哀愁の湖ジョン・M・スタール

『オープニング・ナイト』ジョン・カサヴェテス

アパートの鍵貸しますビリー・ワイルダー

『生きるべきか死ぬべきか』エルンスト・ルビッチ

『エル』ルイス・ブニュエル

ゲームの規則ジャン・ルノワール

『静かなる男』ジョン・フォード

過去を逃れてジャック・ターナー

北北西に進路を取れアルフレッド・ヒッチコック

 

ジョン・カーペンター

『コンドル』ハワード・ホークス

『フォルスタッフ 真夜中の瞳』オーソン・ウェルズ

リオ・ブラボーハワード・ホークス

ブルジョワジーの秘かな愉しみ』ルイス・ブニュエル

『チャイナタウン』ロマン・ポランスキー

赤ちゃん教育ハワード・ホークス

『捜索者』ジョン・フォード

『暗黒街の顔役』ハワード・ホークス

『めまい』アルフレッド・ヒッチコック

 

ジャン=ジャック・ベネックス

『2001年宇宙の旅』スタンリー・キューブリック

セリーヌ』ジャン=クロード・ブリソー

『白い町で』アラン・タネール

天井桟敷の人々』マルセル・カルネ

ゲームの規則ジャン・ルノワール

アタラント号ジャン・ヴィゴ

『白い馬』アルベール・ラモリス

『オペラは踊る』サム・ウッド

『モダン・タイムス』チャールズ・チャップリン

『犯罪河岸』アンリ=ジョルジュ・クルーゾ

 

スタン・ブラッケイジ

『詩人の血』ジャン・コクトー

『オルフェ』ジャン・コクトー

『オルフェの遺言』ジャン・コクトー

『ロンドンの雄鹿』ジョン・チェンバーズ

『対角線交響楽』ヴィキング・エッゲリング

『イワン雷帝』セルゲイ・エイゼンシュタイン

『すべての死者たちの書』ブルース・エルダー

『モーション・ペインティング』オスカー・フィッシンガー

『詩人のベール』ピーター・ハーウィッツ

『ゴー!ゴー!ゴー!』マリー・メンケン

『このうえなく優美な死体の冒険』アンドリュー・ノーレン

『見られ続けて』フィル・ソロモン

 

ジャッキー・チェン

『80日間世界一周』マイケル・アンダースン

市民ケーンオーソン・ウェルズ

ドクトル・ジバゴ』デイヴィッド・リーン

風と共に去りぬヴィクター・フレミング

『ミッドナイト・ラン』マーティン・ブレスト

カッコーの巣の上で』ミロシュ・フォアマン

七人の侍黒澤明

『戦場にかける橋』デイヴィッド・リーン

ディア・ハンターマイケル・チミノ

ゴッドファーザーフランシス・フォード・コッポラ

 

チェン・カイコー

地獄の黙示録フランシス・フォード・コッポラ

市民ケーンオーソン・ウェルズ

大人は判ってくれないフランソワ・トリュフォー

ゴッドファーザーフランシス・フォード・コッポラ

イントレランス』D・W・グリフィス

アラビアのロレンス』デイヴィッド・リーン

羅生門黒澤明

『タクシー・ドライバー』マーティン・スコセッシ

レイジング・ブルマーティン・スコセッシ

黄色い大地チェン・カイコー

 

マイケル・チミノ

『山猫』ルキノ・ヴィスコンティ

コレヒドール戦記』ジョン・フォード

『ルートヴィヒ 神々の黄昏』ルキノ・ヴィスコンティ

『捜索者』ジョン・フォード

『道』フェデリコ・フェリーニ

天井桟敷の人々』マルセル・カルネ

荒野の決闘ジョン・フォード

甘い生活フェデリコ・フェリーニ

若者のすべてルキノ・ヴィスコンティ

七人の侍黒澤明

 

アレックス・コックス

『皆殺しの天使』ルイス・ブニュエル

『アルジェの戦い』ジッロ・ポンテコルヴォ

市民ケーンオーソン・ウェルズ

『炎628』

『生きる』黒澤明

キング・コング』メリアン・C・クーパー&アーネスト・B・シェードサック

『恐怖の報酬』アンリ=ジョルジュ・クルーゾー

『黄金』ジョン・ヒューストン

『2001年宇宙の旅』スタンリー・キューブリック

『乱』黒澤明

 

ジョナサン・デミ

『アントニオ・ダス・モルテス』グラウベル・ローシャ

暗殺の森ベルナルド・ベルトルッチ

ドゥ・ザ・ライト・シングスパイク・リー

『ゲアトルード』カール・Th・ドライヤー

キング・コングメリアン・C・クーパー&アーネスト・B・シェード

『神々の深き欲望』今村昌平

『年月を数える夜』シャディ・アブデル=サラーム

『ロビンとマリアン』リチャード・レスター

ピアニストを撃てフランソワ・トリュフォー

オズの魔法使ヴィクター・フレミング

 

スタンリー・キューブリック

『青春群像』フェデリコ・フェリーニ

『野いちご』イングマール・ベルイマン

市民ケーンオーソン・ウェルズ

『黄金』ジョン・ヒューストン

『街の灯』チャールズ・チャップリン

『ヘンリー五世』ローレンス・オリヴィエ

『夜』ミケランジェロ・アントニオーニ

『ザ・バンク・ディック』エディ・クライン

『ロキシー・ハート』ウィリアム・ウェルマン

『地獄の天使』ハワード・ヒューズ

 

フェデリコ・フェリーニ

マチステの地獄征伐』グイド・ブリニョーネ

『街の灯』チャールズ・チャップリン

『怪傑ディアボロ』ハル・ローチ&チャールズ・ロジャーズ

フランケンシュタイン』ジェイムズ・ホエール

駅馬車ジョン・フォード

『戦火のかなた』ロベルト・ロッセリーニ

『2001年宇宙の旅』スタンリー・キューブリック

ブルジョワジーの秘かな愉しみ』ルイス・ブニュエル

『ベルリンで離ればなれになったトトとペッピーノ』ジョルジュ・ビアンキ

インテルビスタフェデリコ・フェリーニ

 

アトム・エゴヤン

ラルジャンロベール・ブレッソン

『ざくろの色』セルゲイ・パラジャーノフ

8 1/2フェデリコ・フェリーニ

『キング・オブ・コメディ』マーティン・スコセッシ

『鏡』アンドレイ・タルコフスキー

『夜』ミケランジェロ・アントニオーニ

裁かるるジャンヌ』カール・Th・ドライヤー

『仮面/ペルソナ』イングマール・ベルイマン

『テオレマ』ピエル・パオロ・パゾリーニ

女と男のいる舗道ジャン=リュック・ゴダール

 

エドワード・ヤン

『アギーレ・神の怒り』ヴェルナー・ヘルツォーク

ラルジャンロベール・ブレッソン

ブルー・ベルベットデイヴィッド・リンチ

時計じかけのオレンジスタンリー・キューブリック

8 1/2フェデリコ・フェリーニ

浮雲成瀬巳喜男

切腹小林正樹

『マンハッタン』ウディ・アレン

『アメリカの伯父さん』アレン・レネ

ノスタルジアアンドレイ・タルコフスキー

 

テリー・ギリアム

市民ケーンオーソン・ウェルズ

七人の侍黒澤明

『第七の封印』イングマール・ベルイマン

8 1/2フェデリコ・フェリーニ

『2001年宇宙の旅』スタンリー・キューブリック

『キートンの探偵学入門』バスター・キートン

『ピノキオ』ベン・シャープスティーン&ハミルトン・ラスク

天井桟敷の人々』マルセル・カルネ

『片目のジャック』マーロン・ブランド

アパートの鍵貸しますビリー・ワイルダー

 

ウィリアム・フリードキン

市民ケーンオーソン・ウェルズ

『イブの総て』ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ

『黄金』ジョン・ヒューストン

『2001年宇宙の旅』スタンリー・キューブリック

モントリオールのジーザス』ドゥニ・アルカン

『欲望』ミケランジェロ・アントニオーニ

8 1/2フェデリコ・フェリーニ

『突撃』スタンリー・キューブリック

ラストタンゴ・イン・パリベルナルド・ベルトルッチ

 

侯孝賢

フェリーニのアマルコンド』フェデリコ・フェリーニ

浮雲成瀬巳喜男

勝手にしやがれジャン=リュック・ゴダール

東京物語小津安二郎

『遠い雷鳴』サタジット・レイ

『まわり道』ヴィム・ヴェンダース

『不安と魂』ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー

『アギーレ・神の怒り』ヴェルナー・ヘルツォーク

『愛に関する短いフィルム』クシシュトフ・キエシロフスキ

ゴッドファーザーフランシス・フォード・コッポラ

 

デレク・ジャーマン

アタラント号ジャン・ヴィゴ

『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー

カンタベリー物語』ピエル・パオロ・パゾリーニ

老兵は死なずマイケル・パウエルエメリック・プレスバーガー

たそがれの女心マックス・オフュルス

『午後の網目』マヤ・デーレン&アレクザンダー・ハミッド

『モダン・タイムス』チャールズ・チャップリン

『オルフェ』ジャン・コクトー

パンドラの箱』G・W・パブスト

オズの魔法使ヴィクター・フレミング

 

アキ・カウリスマキ

東京物語小津安二郎

肉体の冠ジャック・ベッケル

黒い罠』&『審判』オーソン・ウェルズ

『ゲアトルード』カール・Th・ドライヤー

シラノ・ド・ベルジュラックマイケル・ゴードン

『幻影は市電に乗って旅をする』ルイス・ブニュエル

『極北の怪異』ロバート・フラハティ

『はなればなれに』とその他の作品 ジャン=リュック・ゴダール

『モンタレー・ポップ』D・A・ペネベイカー

『白いトナカイ』エリック・ブロムベルイ

 

マイケル・マン

地獄の黙示録フランシス・フォード・コッポラ

戦艦ポチョムキン』セルゲイ・エイゼンシュタイン

ファウストF・W・ムルナウ

博士の異常な愛情スタンリー・キューブリック

キッスで殺せロバート・オルドリッチ

荒野の決闘ジョン・フォード

プロビデンスアラン・レネ

『民衆の敵』ウィリアム・ウェルマン

『ジプシーのとき』エミール・クストリッツァ

『2001年宇宙の旅』

 

フレデリック・ワイズマン

マルクス一番乗り』サム・ウッド

『オペラは踊る』サム・ウッド

『我輩はカモである』レオ・マッケリー

『ターミナル・ホテル クラウス・バービーの生涯と時代』 マルセル・オフュルス

『崖』フェデリコ・フェリーニ

『モダン・タイムス』チャールズ・チャップリン

カビリアの夜フェデリコ・フェリーニ

『W・C・フィールズの歯科医』レスリー・ピアス

『鏡の中の女』イングマール・ベルイマン

『黄金狂時代』チャールズ・チャップリン

  

ジョン・シュレンジャー

『ウンベルトD』ヴィットリオ・デ・シーカ

ブルジョワジーの秘かな愉しみ』ルイス・ブニュエル

大いなる幻影ジャン・ルノワール

『生きる』黒澤明

市民ケーンオーソン・ウェルズ

『ファニーとアレクサンデル』フェデリコ・フェリーニ

『第三の男』キャロル・リード

『サンセット大通り』ビリー・ワイルダー

雨に唄えば』スタンリー・ドーネン&ジーン・ケリー

大人は判ってくれないフランソワ・トリュフォー

 

ポール・シュレイダー

ゲームの規則ジャン・ルノワール

東京物語小津安二郎

『スリ』ロベール・ブレッソン

市民ケーンオーソン・ウェルズ

裁かるるジャンヌ』カール・Th・ドライヤー

暗殺の森』ベルナルド・ベルトリッチ

『めまい』アルフレッド・ヒッチコック

『男性・女性』ジャン=リュック・ゴダール

『街の灯』チャールズ・チャップリン

『捜索者』ジョン・フォード

 

イェジー・スコリモフスキ

8 1/2フェデリコ・フェリーニ

市民ケーンオーソン・ウェルズ

羅生門黒澤明

『第七の封印』イングマール・ベルイマン

アタラント号ジャン・ヴィゴ

『忘れられた人々』ルイス・ブニュエル

『太陽はひとりぼっち』 ミケランジェロ・アントニオーニ

若者のすべてルキノ・ヴィスコンティ

去年マリエンバートでアラン・レネ

ゴッドファーザーPART2』フランシス・フォード・コッポラ

 

オリヴァー・ストーン

『我等の生涯の最良の年』ウィリアム・ワイラー

アラビアのロレンス』デイヴィッド・リーン

博士の異常な愛情スタンリー・キューブリック

『1900年』ベルナルド・ベルトリッチ

レイジング・ブルマーティン・スコセッシ

『南海征服』フランク・ロイド

『波止場』エリア・カザン

ゴッドファーザー』『ゴッドファーザーPART2』フランシス・フォード・コッポラ

『突撃』スタンリー・キューブリック

市民ケーンオーソン・ウェルズ

 

ニキータ・ハミルコフ

『国境の町』ボリス・バルネット

8 1/2フェデリコ・フェリーニ

市民ケーンオーソン・ウェルズ

俺たちに明日はないアーサー・ペン

『ベニスに死す』ルキノ・ヴィスコンティ

カッコーの巣の上で』ミロシュ・フォアマン

アタラント号ジャン・ヴィゴ

『ザ・デッド』ジョン・ヒューストン

『恥』イングマール・ベルイマン

羅生門黒澤明

 

ジョン・ウー

市民ケーンオーソン・ウェルズ

『2001年宇宙の旅』スタンリー・キューブリック

『サムライ』ジャン=ピエール・メルヴィル

アラビアのロレンス』デイヴィッド・リーン

ミーン・ストリートマーティン・スコセッシ

ワイルドバンチサム・ペキンパー

ゴッドファーザーPART2』フランシス・フォード・コッポラ

七人の侍黒澤明

ウェスト・サイド物語ロバート・ワイズ

レイジング・ブルマーティン・スコセッシ

 

マーティン・スコセッシ

8 1/2フェデリコ・フェリーニ

市民ケーンオーソン・ウェルズ

『山猫』ルキノ・ヴィスコンティ

『赤い靴』マイケル・パウエルエメリック・プレスバーガー

『捜索者』ジョン・フォード

 

 抜き出してて思ったが、ちょっとみんな選ぶ映画が味気なさすぎでる。こういう『ベスト10』の楽しみって、その人の思想なり嗜好なりを知れることにあるのに、人格を感じさせないチョイスが多い。『市民ケーン』とか『8 1/2』とか『羅生門』とか『東京物語』とか『アタラント号』とか、そんなんばっかり選んで、何を言いたいのだろう。か。「名作」を抜き出しただけのリストほどつまらないものはない。もっと趣味嗜好を反映させたリスト(例えばこういうやつ)が見たかった。まあ、コラムの方が充実しているので、そっちをメインに読めばいいと思う。

 

映画監督のお気に入り&ベスト映画

映画監督のお気に入り&ベスト映画

 

 

秋津弘貴 『プロ野球記者会にいると絶対に書けない話』

 ジャーナリストの秋津弘貴が『月刊リベラルタイム』に連載していた野球コラムを加筆し、まとめたのが本書である。中身は、「愛すべきスーパースター「長嶋茂雄」」、「名伯楽「仰木彰」の伝説と遺産」といった過去に焦点をあてたものから、「日本一「中日ドラゴンズ」の秋季キャンプ」のような現代のプロ野球について書いたものまで、幅広い。「絶対に書けない話」と銘打ってはいるが、どぎつい感じはまったくなく、プロ野球記者会というのはそんなにタブーが多い場所なのかと思うぐらいだ。

 中でも興味深かった話は、「ジャパン監督「星野仙一」の知られざる「爺殺し術」」だ。星野は明大時代、「御大」と呼ばれ、鉄拳制裁で恐れられたスパルタ監督島岡吉郎に目をかけられ、部内では主将を任されるほどに出世した。星野は島岡の言う事ならなんでも従った。ある時、島岡が学内でデモをしている生徒たちを見かけ、星野に「おい、星野、あいつら赤か?」と尋ねた。星野が「ハイ」と即答すると、島岡は「殴れ」と命令した。星野は一瞬ためらったが、すぐさま「猛然と学生運動の群れに飛び込んで行った」という。何とも凄まじい忠誠心だ。今でも星野は、「明治大学野球部島岡学科卒業を公言している」のだとか。鉄拳制裁で有名だった島岡だが、「明大野球部史上、島岡吉郎の鉄拳の洗礼を浴びなかった主将は二人だけ」で、一人は星野、もう一人は高田繁らしい。高田は「万事においてソツのない優等生で殴る理由が見つからなかった」ということだが、星野に関しては「あいつ、殴ろうとすると、自分から『殴ってください』といわんばかりに顔を突き出してくるんだよ」とのこと。これが星野流人心掌握術 のようだ。

 星野は島岡だけでなく、プロ引退後は、川上哲治ドジャース会長ピーター・オマリー、中日オーナー加藤巳一郎、田宮謙次郎といった年上の人たちに取り入ることにより、地位を築いてきた。その手腕はまさに「爺殺し」。星野のこうした性格は、早くに実の父親を亡くしたことが原因ではないか(父・仙蔵は星野が生まれる三か月前に脳腫瘍で他界した)、と秋津は本書で考察している。つまり、星野は島岡や川上を、「父親の代理」に見立てているというわけだ。これは面白い見かただと思った。

 ちなみに、中日新聞社は、元々戦時下の新聞統合令により、名古屋新聞社(オーナー:加藤家)と新愛知新聞社(オーナー:大島家)が合併してできた会社なので、今でもその二社を中心とする派閥が残っているらしい。加藤家に可愛がられたのが星野で、大島家に近い白井オーナーに信頼されているのが落合だ。星野と白井の間には確執があるとも言われている。ヤクルトでは古田と多菊社長が争ったこともあった。人事をめぐるゴシップはやはり面白い。

 

プロ野球記者会にいると絶対書けない話

プロ野球記者会にいると絶対書けない話

 

 

金村義明 『80年代パ・リーグ 今だから言えるホントの話』

 金村義明と言えば、タレント兼野球解説者として、バラエティ番組などでもよく見かけるが、本書はそんな彼が文字通り「80年代パ・リーグ(一部90年代ネタもあり)」について面白おかしく語ったものだ。

 テレビでも近鉄時代の裏話についてはよく喋っているので、ネタはいくつか被っている(というかそこで話題になったからこそ、本として出版されたのだろうが)。例えば、栗橋茂やジム・トレーバー、リチャード・デービスのエピソードとか。だから、テレビで彼の話を聞いていた人には、そこまで新鮮味はないかもしれない。

 それでも、まとめてそれらのエピソードを読んでいくと、当時の空気感のようなものを追体験できる。藤井寺球場川崎球場の環境の悪さ、親会社のドケチぶり、派手な乱闘、サイン盗み等々。劣悪な環境だったからこそ生まれたパ・リーグ野球。裕福なセ・リーグ球団や西武ライオンズに対する熱い反骨心がここでは描かれている。

 野球界の人間関係についての話も面白い。梨田や大石大二郎近鉄では「幹部候補」として球団から優遇されていたとか、鈴木啓示がチーム内では「ビッグワン」と呼ばれるほどの大物ぶりを発揮していたとか、西武監督時代の東尾に「ヤキモチ」をやかれたとか。鈴木は近鉄監督時代、野茂や立花龍司対立したことで有名だが、金村は鈴木の「名選手ならでは」の傲慢さについて色々と書いている。あと、中西太が未だに球界に対し影響力を持っているというのも興味深かった。中西は、ブライアント、若松勉宮本慎也などを育てた名バッティングコーチで、雇われた先の球団では必ず中西を崇拝する教え子ができるほどのカリスマ性を持ち合わせていた。ヤクルトのバッティングコーチ杉浦繁も中西の教え子らしい。中西は、栗山監督の頼みで、最近はファイターズの選手も指導しているとか。最後に正式にコーチを務めたのはもう20年近く前になるが、中西の教えは今でも脈々と受け継がれている。

 本書には、吉井理人が一時期仰木監督の起用法に不満を持っていたということも書かれている(後に和解)。近鉄監督時代の仰木は投手の起用法を巡り、権藤博ピッチングコーチと対立していたことがあって、それは『プロ野球 書いたら、あとはクビ覚悟』(リム出版)に詳細が載っている。仰木はピッチャーを酷使する傾向にあったので、投手陣からはあまり受けがよくなかったようだ。金村も「人事や采配で非情な面を見せることも多々あった」と本書の中で書いている。

 

  

プロ野球書いたら、あとはクビ覚悟―オレだけが知っている (Lucky books)

プロ野球書いたら、あとはクビ覚悟―オレだけが知っている (Lucky books)

 

 

育てたいという欲求

 今、楽天では梨田監督がオコエを連日スタメンに起用しているけど、ここには梨田の「育てたい」という欲求があると思う。チーム状況的に、オコエがスタメンになってもおかしくはないんだけど、枡田、島内、牧田、聖沢といった中堅クラスの選手がいるなかで、あえて起用するというのは、オコエを優先的に育てようという意思があるからだろう。守備・走塁はともかく、オコエの打撃はまだまだだしね。だから、控えに回された選手の中には、監督に反発を持っているということも十分あり得る。元近鉄金村義明は、同じポジションを守る中村紀洋が入団した時、口もきかなかったらしい。この辺をどう調整するかが、監督としての手腕が問われるところだ。

 監督やコーチというのは、チームを勝利に導けば当然評価されるわけだけど、それ以外に「○○を育てた」ということも評価の対象になる。「師弟関係」というのは、マスコミにとっても取り上げやすいトピックだ。古くは荒川─王から、野村─古田、長嶋─松井というような形があり、また、こうした関係を築くことは、「派閥」にも繋がっていったりする。ただ、「師弟関係」によって築かれた派閥は、弟子の方が強くなり過ぎると崩壊するので、そこらへんは少し複雑なのだが。いわゆる「両雄並び立たず」というやつだ。巨人において、川上と長嶋・王が対立したのも、そういうことだろう。

 オコエが育てば、それだけで梨田やコーチの池山は球史に名を残すだろう。菅野とか田中将大なんかは、どの球団に入っても活躍しただろうなという感じがするが、オコエは素材型の選手なので、余計に「育成した」感が出る。オコエがスーパースターになれば楽天にとって大きな利益になる。育てた梨田や池山は、球団に対していい顔ができるし、他球団からより良い条件でリクルートされることだってあり得る。勿論、オコエに対しても影響力を持つことができる。そういうことまで考えて、オコエを起用しているのだと僕は考えている。「育てたいという欲求」は、結構俗っぽい心理から生まれるものだ。