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ローリングストーン日本版編集部 『オルタナ魂―90年代USカルチャーの縮図 』

 タイトル通り90年代に活躍したオルタナ系バンドの取材記事を集めたムック本。元々はローリングストーン誌に掲載されたもの。取り扱われているバンドは、ニルヴァーナジェーンズ・アディクション、フィッシュボーン、ソウル・アサイラムスマッシング・パンプキンズ、ブリーダーズ、マッドハニー、ホール、アリス・イン・チェインズ、パール・ジャム、ベック。ニルヴァーナだけは3本記事がある。巻末には映画『ハイプ』の監督ダグ・プレイのインタビュー記事。

 フィッシュボーンやブリーダーズのような、日本ではあまり詳しい記事の出ないバンドも取り上げられているのが嬉しい。写真も多くビジュアル的にも優れている。また、記事からバンドのちょっとした歴史も知ることができたりする。

 バンドに密着して書かれた記事からは、ツアー中のバンドの雰囲気がこちらにもよく伝わってくる。1990年のジェーンズ・アディクションのツアーに同行して書かれた記事からは、バンドのぎくしゃくとした人間関係の様子がよくわかる。記者はそのことを直接ペリー・ファレルに質問し、ファレルが「どのバンドだって大変だよ。大変じゃないと思ってる人は、意見がない人だろうね」と答える場面もある。

 記事が3本も収録されていることから、編集部がニルヴァーナを特に重要視したことはよくわかる。1本は92年に掲載されたもので、その頃には『ネヴァーマインド』がリリースされてから半年近く経過しており、バンドはちょうど熱狂の渦のなかにいた。記事の中では「サムシング・イン・ザ・ウェイ」の歌詞の元となった出来事やバンドがサブ・ポップからゲフィンに移籍した経緯も書かれている。2本目は、カート・コバーンとのロング・インタビューで、94年に掲載された。この頃になると、周囲に対する鬱憤が頂点に達している感じがある。ライブで「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」を演奏しないこともあった。このインタビューでは自身のドラッグ問題についても率直に語っている。そしてこのインタビューが雑誌に掲載されてから数か月後、コバーンは自殺する。3本目は、自殺の直前・直後の記事をまとめたものだ。

 ニルヴァーナの記事もそうだが、他のバンドに関しても、明るい記事ばかりではない。メンバーがドラッグ問題を抱えていたり、バンド間に亀裂が入っていたりと、重々しいものが少なくない。それもオルタナというものを象徴しているようではある。

 

オルタナ魂―90年代USカルチャーの縮図 (LOCUS MOOK/ローリングストーン 日本語版)

オルタナ魂―90年代USカルチャーの縮図 (LOCUS MOOK/ローリングストーン 日本語版)

  • 作者: ローリング・ストーン日本版編集部,秋岡杏子
  • 出版社/メーカー: インターナショナル・ラグジュアリー・メデ
  • 発売日: 2009/03/01
  • メディア: ムック
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  余談だが、昔フジロック(2007)でフィッシュボーンを見ようと思っていたら、バンドの来日がキャンセルされるということがあった。直前に、新潟県中越沖地震があったので、それにびびって来なかったんじゃないかという噂が流れた。


Fishbone - Sunless Saturday (HD)