リテレール 1993年冬号 特集 短編小説ベスト3

 自称スーパー・エディター安原顯が編集していた雑誌『リテレール』1993年冬号の企画「短編小説ベスト3」。著名な作家、評論家、翻訳家に、文字通り「短編小説」のベスト3を選んでもらっている。適当に抜粋していこう。

 

西村孝次

エドガー・ポウ「黒猫」

アントン・チェーホフ「犬を連れた奥さん」

キャサリンマンスフィールド「蠅」

 

富士川英郎

森鴎外高瀬舟

芥川龍之介「蜃気楼」

佐藤春夫「西班牙犬の家」

 

埴谷雄高

ドストエフスキイ「大審問官」

ポオ「メエルシュトレエムに呑まれて」

梶井基次郎「闇の絵巻」

 

小島信夫

井伏鱒二「へんろう宿」

伊勢物語』第六段

フランツ・カフカ「父の気がかり」

 

島尾ミホ

島尾敏雄「出孤島記」

島尾敏雄「のがれ行くこころ」

島尾敏雄「湾内の入江で」

 

安岡章太郎

井伏鱒二「へんろう宿」

内田百閒「冥途」

中勘助「遺品」

 

山田風太郎

ポー「黄金虫」

アナトール・フランス「聖母の軽業師」

芥川龍之介奉教人の死

 

塚本邦雄

ウィリアム・フォークナー「エミリーへの薔薇」

ギヨーム・アポリネールアムステルダムの水夫」

上田秋成雨月物語』「菊花の約」

 

吉本隆明

夏目漱石夢十夜』の中の「第三夜」

芥川龍之介「蜜柑」

太宰治「駆込み訴え」

 

奥野健男

太宰治「駆込み訴え」

三島由紀夫「真夏の死」

北杜夫「岩尾根にて」

 

北杜夫

夏目漱石夢十夜

トーマス・マン「衣装戸棚」

エドガー・アラン・ポー「沈黙」

 

城山三郎

ジェームズ・ジョイス「小さな雲」

アースキン・コールドウェル「棺の中の蠅」 

永井龍男「青梅雨」

 

木田元

クライスト「ミヒャエル・コールハースの運命」

井伏鱒二「丹下氏邸」

太宰治「女の決闘」

 

尾崎秀樹

夏目漱石夢十夜

魯迅「野草」

内田百閒「冥途」

 

常盤新平

サリンジャー笑い男

ショー「夏服を着た女たち」

木山捷平「下駄の腰掛」

 

小林信彦

ジャック・フィニィ「失踪人名簿」

T・コラゲッサン・ボイル「血の雨」

リチャード・レイモン「バスタブ」

 

藤本義一

中島敦「弟子」

フリオ・コルタサル「病人たちの健康」

堤中納言物語

 

長部日出雄

太宰治「満願」

井伏鱒二「鯉」

吉行淳之介「食卓の光景」

 

野口武彦

「不被知人女盗人語」

ディーノ・プッツァーティ「龍退治」

太宰治「虚構の春」

 

巖谷國士

エドガー・アラン・ポー「メッツェンガーシュタイン」

ギヨーム・アポリネール「アイゼンベルク伯爵夫人」

深沢七郎「風流夢譚」

 

高山宏

芥川龍之介地獄変

上田秋成「青頭巾」

E・A・ポー「アルンハイムの地所」

 

小森陽一

夏目漱石「印象」

梶井基次郎「泥濘」

中上健次「鴉」

 

中条省平

久生十蘭「姦」

三島由紀夫「真珠」

塚本邦雄「かすみあみ」

 

 夏目漱石井伏鱒二太宰治、内田百閒、芥川龍之介、ポーあたりが強いという印象。「古今東西の短編」という依頼だったらしいが、自らテーマを決めて選んでいる人もいる。意外と海外の作品は少ない。

 

リテレール (7)

リテレール (7)