関景介編 『恋愛映画1000』
2000年にアスペクトから出版された、「恋愛映画」に的を絞ったガイド本。50人の「カルチャー系雑誌で活躍する50人の著名ライター」が、1人20本ずつ「恋愛映画」を紹介しているので、「1000」というタイトルになっている。日本美女選別家協会(リリー・フランキー、黒住光、松久淳、A.K.I.)による座談会も収録。
気になったものをいくつかピックアップしてみよう。
②残菊物語
③みな殺しの霊歌
④バットマン リターンズ
⑤めまい
⑥孤独な場所で
⑦ベロニカ・フォスのあこがれ
⑧イタリア旅行
⑬乱れる
⑭恋(ジョセフ・ロージー)
⑮男性・女性
⑯清作の妻
⑰白夜(ロベール・ブレッソン)
⑱いちごブロンド
⑲暗黒街の弾痕(フリッツ・ラング)
⑳早春
コメント抜粋「条理を超えた愛。それは映画というものの中でしか見れぬ超自然現象だ」
②ボギー! 俺も男だ
③地球は女で回ってる
⑥うたかたの日々(シャルル・ベルモン)
⑧チャイナタウン(ロマン・ポランスキー)
⑩甘い生活
⑪めまい
⑫ロリータ(エイドリアン・ライン)
⑬スタン・ザ・フラッシャー
⑭橋の上の娘
⑮わらの犬
⑰こわれゆく女
コメント抜粋「結果的に、過去の恋愛経験とカブるとか、現在直面しているラヴ&セックス問題の参考になるとか、自分の身につまされ度でセレクトしてしまった」
①乾いた花
②涙を、獅子のたて髪に
③美しさと哀しみと
④日本脱出
⑤青春残酷物語
⑧草原の輝き
⑩草の上の月
⑪ハネムーン・キラーズ
⑫バットマン リターンズ
⑭アメリカン・ビューティ
⑮ハピネス
⑯ワイルド・サイド
⑱ジェラシー(ニコラス・ローグ)
⑳ボウイ&キーチ
コメント抜粋「加賀まりこの衝撃は大きく、とても彼女を『右手の友』にする思いすら浮かばなかったが、中学・高校時代に『右手の友』となったのが、桑野みゆきだった」
②ハピネス
③知られぬ人
④大アマゾンの半漁人
⑤フランケンシュタインの花嫁
⑥ブライド
⑧フリークス
⑨笑ふ男(パウル・レニ)
⑩バットマン リターンズ
⑪ハロルドとモード/少年は虹を渡る
⑫不安と魂
⑬ペトラ・フォン・カントの苦い涙
⑭少しだけの愛だけでも(ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー)
⑮恋人たちの曲/悲愴
⑯ルージュ
⑰エル(ルイス・ブニュエル)
⑱クラッシュ(デヴィッド・クローネンバーグ)
⑳毛髪歌劇
コメント抜粋「今、愛について語る上でどうしても外せない存在、それがフィリップ・シーモア・ホフマンだ。彼こそ現代の報われない愛のチャンピオンである」
①ムトゥ 踊るマハラジャ
②アシュラ(ラーフル・ラワィル)
③ロッタちゃんと赤いじてんしゃ
⑤赤い影
⑥リトル・ロマンス
⑧フレンズ/ポールとミシェル
⑨ジェレミー
⑪ドラゴン怒りの鉄拳
⑭冒険者たち
⑯クリスティーン(ジョン・カーペンター)
⑲ジェラシー
⑳牯嶺街少年殺人事件
コメント抜粋「男にとって恋愛映画とはロマンチックなものではなく、やっぱりかっこいいものであって欲しい」
①リトル・ロマンス
②転校生(大林宣彦)
④20世紀ノスタルジア
⑥超時空要塞マクロス 愛・おぼえてますか
⑨天使のはらわた 赤い教室
⑪美少女プロレス 失神10秒前
⑫DEAD OR ALIVE 犯罪者
⑮ジェニーの肖像
⑳奇縁(チン・シウトン)
コメント抜粋「恥ずかしいので今まで黙っていたが、恋愛映画のわが原点は、何を隠そう『リトル・ロマンス』なのである」
①シュリ
③愛と青春の旅立ち
④リトル・ロマンス
⑤プライベイト・レッスン
⑥『グローイング・アップ』シリーズ
⑦マネキン(マイケル・ゴットリーブ)
⑧マネキン2
⑨イル・ポスティーノ
⑩ビフォア・ザ・レイン
⑬愛のあとに
⑭バトル・ヘルハウス
⑮愛を弾く女
⑯フランスの女
⑰ネクロマンティック1〈完全版〉
⑱ネクロマンティック2〈完全版〉
⑲日曜日の恋人たち
⑳フレンド(ジャン=ピエール・アメリ)
コメント抜粋「そして『ネクロマンティック1〈完全版〉』!! これは当時マジで盛り上がった! この作品でオレの映画仕事の位置付けとか役割が決定したと言えるほどの作品なのである」
②クラッシュ
③ソドムの市
④爆裂都市 Burst City
⑤コレクター(ウィリアム・ワイラー)
⑧発狂する唇
⑩刺青・愛・乱舞
⑫まぼろしの市街戦
⑭テロ2000年 集中治療室
⑯戦慄の絆
⑰イリュージョニスト(ヨス・ステリング)
⑱ブラザー・サン シスター・ムーン
⑲ネクロマンティック1〈完全版〉
コメント抜粋「マジで殺しを考えているほど親を愛している人々には、親子の情愛を念入りに描いた『青春の殺人者』を薦めたい」
①盲獣
③妻は告白する
④セックス・チェック/第二の性
⑤悶絶!! どんでん返し
⑥乱れ雲
⑦めし
⑨河内カルメン
⑩かぶりつき人生
⑪女は二度生まれる
⑭男性・女性
⑯女鹿
⑰ハッスル(ロバート・アルドリッチ)
⑱何がジェーンに起こったか?
コメント抜粋「愛の歓喜を描くことでは右に出る者がいないジャン・ルノアールの『草の上の昼食』における自然描写に仮託したセックスシーンが、この上なく美しい」
②狂気の愛
③ジャン・ルノワールの小劇場
④夏の遊び
⑤BARに灯のともる頃
⑥大自然の凱歌
⑦愛のそよ風
⑧プリティ・イン・ピンク 恋人たちの街角
⑨ベイビー・イッツ・ユー
⑩ラブ・ストリームス
⑪シャー・ルク・カーンのDDLJ ラブゲット大作戦
⑫アンディ・ラウのスター伝説
⑬欲望の翼
⑮風の輝く朝に
⑯野獣特捜隊
⑰バタフライ・ラヴァーズ
⑱自梳(ジェイコブ・チョン)
⑲君のいた永遠
⑳ステキな彼女
コメント抜粋「とにかく好きで好きで、これを前にしては身も世もなく惑乱するしかないのが1『ロシュフォールの恋人たち』」
添野知生
①暗黒街の弾痕(フリッツ・ラング)
②われらの恋に雨が降る(イングマール・ベルイマン)
③幽霊と未亡人
⑤心のともしび
⑥めまい
⑦乱れ雲
⑩夕なぎ セザールとロザリー
⑫ふたり(ロバート・ワイズ)
⑬おかしなおかしな大冒険
⑭ハッスル(ロバート・アルドリッチ)
⑮天使のはらわた 赤い教室
⑰恋しくて(ハワード・ドイッチ)
⑱ラブ・ストーリーを君に
⑲いつかの日この愛を
⑳チェイシング・エイミー
コメント抜粋「メロドラマの宝庫でもあるロマンポルノの中でも、徹底した甘美さと絶望を描いて一つの里程標になったのが『天使のはらわた 赤い教室』」
①人妻集団暴行致死事件
②四畳半襖の裏張り
③主婦と性生活
④堕糜泥の星 美少女狩り
⑤くの一淫法 百花卍がらみ
⑥時には娼婦のように
⑦天使のはらわた 赤い教室
⑨暴行切り裂きジャック
⑪ピンクのカーテン
⑫嗚呼! おんなたち・猥歌
⑬縄と乳房
⑭生贄夫人
⑮四畳半襖の裏張り しのび肌
⑯わたしのSEX白書 絶頂度
⑰夫婦秘戯くらべ
⑲妻たちの性体験 夫の目の前で今……
⑳ダブルベッド
コメント抜粋「内田裕也演じる売れないロケンローラー。マネージャーは安岡力也。充分だろ。もうこのツーショットでOKじゃない」
③ワン・フロム・ザ・ハート
⑤四月物語
⑧欲望の翼
⑨楽園の瑕
⑮誰かがあなたを愛している
⑯裸足で散歩
⑰二十歳の恋
⑳世界中がアイ・ラブ・ユー
コメント抜粋「自分の少ない体験や人様のいろんな話を総合するに、やっぱり恋愛の真骨頂は、人が恋を自覚して行動に移すファースト・ステージ、その短期間の熱と昂揚にこそあるのだと思う。そして、そこのところの描写能力に長けている映画を、私としては恋愛映画と呼びたいところだ」
①恐怖の外人球団
③ドカベン
④塀の中のプレイ・ボール
⑦ドリーム・スタジアム
⑧サード
⑨ザ・ファン
⑩メジャーリーグ2
⑪タッチ 背番号のないエース
⑫がんばれ! ベアーズ大旋風
⑭ヒーローインタビュー
⑮ミスター・ベースボール
⑯がんばれ! ベアーズ
⑰ナチュラル
⑲遥かなる甲子園
⑳さよならゲーム
コメント抜粋「恋愛は野球だ!」
適当に抜きだしてみただけでも、結構被っているがわかる。『ラストタンゴ・イン・パリ』、『バットマン リターンズ』、『天使のはらわた 赤い教室』、『めまい』、『ハッスル』、『ジェラシー』、『男性・女性』、『リトル・ロマンス』とか。なんとなくわかるような気がする。
前に『映画秘宝のオールタイムベスト特集号』というのを書いたけど、柳下毅一郎なんかは、「オールタイムベスト」と今回の「恋愛映画」のチョイスが似通っていて、興味深かった。オールタイムベストでは回答しなかった中原昌也が、ここでは律儀に「恋愛映画」を選んでいる。
追加
鈴木布美子が選ぶアヴァンギャルド映画ベスト50(『映画の快楽』角川文庫、1990年より引用)
・花火 ケネス・アンガー
・獣の血 ジョルジュ・フランジュ
・オルフェ ジャン・コクトー
・緑と色の即興詩 ノーマン・マクラレン
・天使 ジョゼフ・コーネル
・アルヌルフ・ライナー ペーター・クーベルカ
・フィルムのための禅 ナム・ジュン・パイク
・美しき五月 クリス・マルケル
・フィルム アラン・シュナイダー
・チェルシー・ガールズ アンディ・ウォーホル
・ペルソナ イングマール・ベルイマン
・マラー/サド ピーター・ブルック
・中国女 ジャン=リュック・ゴダール
・波長 マイケル・スノウ
・参考のためのマリー フィリップ・ガレル
・アンナ・マグダレーナ・バッハの日記 ストローブ=ユイレ
・パートナー ベルナルド・ベルトルッチ
・銀河 ルイス・ブニュエル
・アントニオ・ダス・モルテス グラウベル・ローシャ
・アウト・ワン ジャック・リヴェット
・自分自身の眼で見る行為 スタン・ブラッケイジ
・今宵かぎりは・・・ ダニエル・シュミット
・快楽の漸進的横滑り アラン・ロブ=グリエ
・私、君、彼、彼女 シャルタル・アッカーマン
・ルシファー・ライジング ケネス・アンガー
・スウィート・ムービー ドゥシャン・マカヴィエフ
・ヴェネチア時代の彼女の名前 マルグリット・デュラス
・ソドムの市 ピエル・パオロ・パゾリーニ
・ロベルトは今夜 ピエール・ズッカ
・ヒトラーあるいはドイツ映画 ハンス=ユルゲン・ジーバーベルク
・盗まれた絵の仮設 ラウル・ルイズ
・天使 パトリック・ボカノウスキー
・エンジェリック・カンヴァセーション デレク・ジャーマン
・アメリカ(階級関係) ストローブ=ユイレ
・薔薇の王国 ヴェルナー・シュレーター
・ノエミの旅 ミシェル・ロッド
・ストリート・オブ・クロコダイル ブラザーズ・クエイ
・右側に気をつけろ ジャン=リュック・ゴダール
・数に溺れて ピーター・グリーナウェイ
・アシク・ケリブ セルゲイ・パラジャーノフ
・風の物語 ヨリス・イヴェンス
・サンタ・サングレ アレハンドロ・ホドロフスキー
恋愛映画1000―すべての映画は恋愛映画である。 (特集アスペクト)
- 作者: 関景介
- 出版社/メーカー: アスペクト
- 発売日: 2000/06
- メディア: 単行本
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