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音楽

村上春樹とブライアン・ウィルソン──「サーフィンUSA」が見せた夢

村上春樹がビーチ・ボーイズについて書いた文章はいくつかあるが、ここでは以下の二つを中心に取り上げたい。一つ目は、『季刊アート・エクスプレス』1994年夏号に掲載された「神話力、1963、1983、そして」(以下「神話力」)。そして、二つ目…

季刊アート・エクスプレス 1994年No.3 小沢健二×柴田元幸

『アート・エクスプレス』1994年夏号(No.3)では、「ロックには何もやるな」という特集を組み、様々な評論や対談を載せている。主な寄稿者は、村上春樹、日比野克彦、鷲田清一、沼野充義、管啓次郎、小沼純一、大澤真幸、北中正和など。そして、対談は…

ロッキング・オン 2009年10月号 渋谷陽一×粉川しの対談

少し前に増井修の『ロッキング・オン天国』を取り上げたついでに、これも紹介しておこう。『ロッキング・オン』2009年10月号では、「創刊500号 記念特別号!!」と題して、過去の記事やインタビューを再録し、これまでロッキング・オンが歩んできた…

増井修 『ロッキング・オン天国』

1972年8月に創刊された『ロッキング・オン』は、もともと素人による投稿を中心とした音楽批評誌だった。それが創刊者渋谷陽一の才覚によって、売れ行きを伸ばしていき、76年には『ロッキング・オン』を正式に会社化、社員数2名ながら出版業界に本格…

LES SPECS 1992年11月号 小沢健二×柴田元幸

小沢健二が東大時代、柴田元幸のゼミにいたことはよく知られている。小沢は1968年生まれだが、1浪しているので、大学入学は1988年。その後1留したから、卒業したのは1993年春ということになる。フリッパーズ・ギターが解散したのは大学在学中…

印南敦史 『音楽系で行こう!』

この前ふと印南敦史の名前をグーグル検索したら、ライフハッカーでビジネス書の書評をしていて驚いた。彼のことは、ブラック・ミュージックをメインに扱う音楽ライター、というような認識をしていたからだ*1。『遅読家のための読書術』という本も売れている…

ローリング・ストーンズとヘルズ・エンジェルス

www.youtube.com 1969年にオルタモント・スピードウェイで開催されたローリング・ストーンズのフリーコンサートでの様子。ステージと客席が区別がつかないほど近い。このライブは警備に関わっていたヘルズ・エンジェルスが大暴れし、その結果客に死傷者…

椎名林檎のイメージ戦略

1 誠治さん、と彼女は言った 椎名林檎がライブで「丸の内サディスティック」を演奏する時、ベースソロに入る直前に(もしくはその最中)、ベーシストである亀田誠治の名前を呼ぶことがある。その際の呼び方だが、実は時期によって微妙に異なっている。例え…

「Wanda Wultz」と日本語

Youtubeで適当に音楽を漁っていたら、Venusというベルギーで結成されたロックバンドの『Vertigone』というアルバムが出てきて、聞き流していたら、「Wanda Wultz」という曲に差し掛かった時、日本語が聞こえてきた。ちなみにこれがその曲である。 Venus - Wa…

ジェレミー・リード 『ワイルド・サイドの歩き方 ルー・リード伝』

ニューヨークの暗部を歌い尽くした男、ルー・リード。彼の人生を総括した本が、詩人・小説家であるジェレミー・リードの手によって著わされた。「俺は誰よりもルー・リードらしく振る舞える」とうそぶき、自らを積極的に「偶像化」した彼の真の姿を、本書に…

スタジオ・ボイス 2008年3月号 次世代【オルタナティヴ・ミュージック】ランキング100!!

オルタナといっても90年代の ポスト・グランジを指すのではない。 70年代後半に種を蒔かれた”もうひとつの”音楽は 80年代の”実験の夜”を通り過ぎ 90年代にエディットされ いまではカルチャー全般に横たわる規範となった。 そして00年代。細分化の…

クイック・ジャパン 1994年Vol.1 小沢健二×鶴見済

『クイック・ジャパン』創刊号は1994年8月にに刊行された。その前年に出た創刊準備号は、当時飛鳥新社の編集者だった赤田祐一が自腹を切って刊行にこぎつけたものだった(社長からは「俺にはひとつもわからねえ」と言われたらしい)。創刊号からは版元…

SST Records マイナー作品紹介②

V.A. 『The Melting Pot』1988年 これは、Dave Markeyというインディーズで活躍している映画監督が企画したアルバムで(彼は後に『1991: The Year Punk Broke』を撮った)、収録されている曲は全てカバー。一部はMarkeyの映画に使われているようだ。 全体的…

SST Records マイナー作品紹介①

高校時代にBlack Flagを聞いて以来、SSTの作品を少しずつ集めてきた。SSTのCDを買うと中にカタログが入っていることがあって、ボクはそれを眺めるのが結構好きだ。中にはカセットでしか販売されていない商品もある。SSTの公式サイトは過去の作品をあまり取…

ロッキング・オン・ジャパン 1996年4月号 巻頭大特集 小沢健二!

家の本棚を漁ったら、『ロッキング・オン・ジャパン』1996年4月号が出て来た。表紙は小沢健二の顔のどアップで、彼のインタビューが巻頭に置かれている。「レヴュー96」と題されたツアーに入る直前に行われたインタビューなので、まずはライブの話題…

黒歴史&お蔵入りアルバム一覧

一度は正式にリリースされたものの、後にミュージシャン本人によって否定されたアルバムというのが、世の中にはいくつかある。また、様々な理由によってお蔵入りし、後になってリリースされたものもある。ここではその両方を簡単に紹介しよう(随時追加中)…

『前略 小沢健二様』

本書は『クイック・ジャパン 』Vol.5(1995年)の企画「拝啓・小沢健二様もしくは……どーしちゃったのさ、オザケン!?」を、増補して書籍化したものだ。「800円本シリーズ」の一冊でもある。 小沢の同級生、元バンド・メンバーらに取材した「同級生10…

盗作魔Circle Jerks

元ブラック・フラッグ、キース・モリスと元レッド・クロスのグレッグ・ヘトソンが中心になって結成したパンク・バンド、サークル・ジャークスは他バンドの曲を拝借することで有名だった。『アメリカン・ハードコア』の中から、ジェフ・マクドナルドとマイク…

Black Flag  『The Complete 1982 Demos』

Damaged Released: 1981 12月 My War Released: 1984 3月 Family Man Released:1984 9月 Slip It In Released: 1984 12月 Loose Nut Released: 1985 5月 In My Head Released: 1985 10月 上に掲げたのは、Black Flagのディスコグラフィの一部だが、気になる…

Universal Congress Of 『The Sad and Tragic Demise of Big Fine Hot Salty Black Wind』

Saccharine TrustのギタリストだったJoe Baizaが、Saccharine Trust解散後に組んだバンド、Universal Congress Ofの4枚目のアルバム(最初の2枚は、アルバムと言えるほど曲が収録されていないのだが)。前作まではSSTからのリリースで、本作からフリー・ジ…

ディスクガイドと音楽遍歴

ボクがこれまで参考にしてきたディスクガイドを簡単に紹介しようと思う。特に理由はない(笑)。 1『Newsweek (ニューズウィーク日本版別冊) ロックこそすべて! ロック生誕50周年記念号』阪急コミュニケーションズ 2005年 BSでやっていた洋楽のPVを…

苦労人ボブ・モウルド

Youtubeでボブ・モウルドのライブ動画を検索すると、エレキギター一本、バックバンドなしで演奏しているモウルドの映像が結構出てくるのだが、まさに「ドサ回り」という感じだ。 www.youtube.com モウルドがギター一本で「ドサ回り」に明け暮れたのは、これ…

Babyshambles 『Down In Albion』

高校時代のアイドルはピート・ドハーティだった。僕は文学にもかぶれていたので、歌詞の中で『宝島』に言及したり、ユイスマンスを愛読本に挙げたりしていた彼に、ミュージシャンとしてだけでなく、そのパーソナリティにも惚れこんでしまったのだ。 僕がファ…

考える人 2005年春号 クラシック音楽と本さえあれば

『考える人』2005年春号では、内田光子ロングインタビュー、武満徹の本棚、わたしが音楽を聴く場所、作家に聞く「ベスト・クラシックCD」、音楽家に聞く「好きな本3冊」といった企画を行っている。ここでは、「ベスト・クラシックCD」を一部抜粋し…

Black Flag  『Live'84』

1984年はブラック・フラッグが最も活発に動いた年だった。彼らは1982年末から、SSTは業務提携していたレコード会社ユニコーンと裁判になっていて、その問題が解決に向かう84年春まで、新作を発売することができなかった。裁判の影響でバンドは…

新春恒例94年シングルめった斬り対談

前に「新春恒例93年シングルめった斬り毒舌対談」という『ロッキング・オン』の記事を紹介したが、「新春恒例94年シングルめった斬り対談」(『ロッキング・オン』1995年3月号に収録)はその94年版で、『NME』1994年12月17日号に掲載された"Juke Box Fur…

The Jesus and Mary Chain 『Psychocandy』

「無気力」。このアルバムを一言で評するなら、そういうことになる。 ジーザス・アンド・メリー・チェインは、リード兄弟が中心となって結成され、二人の仲違いと共に崩壊した。兄弟バンドということでは、オアシスが有名だが、ジザメリにはノエルのようなや…

fIERHOSE 『lowFLOWs: The Columbia Anthology ('91–'93)』

fIREHOSEとは、Minutemenのギタリスト兼ヴォーカリスト、D・ブーンが交通事故で死んだ後に、残されたメンバーが、新たなギタリスト兼ヴォーカリストを加えて結成した3ピースバンドだ。 Minutemenの曲は1分半程度のものが多く(時には30秒ぐらいで終わる…

『ロッキング・オン』の架空インタビュー

72年に創刊された『ロッキング・オン』は、当初、アーティストからのインタビューがとれなかったために、苦肉の策として「架空インタビュー」を掲載するという反則技を展開していた。文字通り勝手に相手の発言を作り上げるわけだが、僕自身実物を見たこと…

新春恒例93年シングルめった斬り毒舌対談

家にあった『ロッキング・オン』のバックナンバー(1994年3月号)を読み返していたら、「新春恒例93年シングルめった斬り毒舌対談」というタイトルの記事を発見した。これは『NME』1993年12月25日号の"Juke Box Fury"という記事の翻訳で、若手ミュージシャ…

「Piazza, New York Catcher」の歌詞について

Belle and Sebastianの『Dear Catastrophe Waitress』(2003年)に収録された「Piazza, New York Catcher」にはこんな歌詞がある。 Piazza, New York catcher, are you straight or are you gay? これは、当時ニューヨーク・メッツのキャッチャーだった…

「今夜はブギー・バック」のカバーについて語る小山田圭吾

スチャダラパーの『サイクル・ヒッツ~リミックス・ベスト・コレクション』には、小山田圭吾がRemixした「今夜はブギー・バック」が収録されている。Remixと言っても、実態はほとんどカバーで、しかも小沢のパートをパロディのように誇張して歌ったものだから…

Nirvana 『In Utero』

ガンズ・アンド・ローゼズは『ユーズ・ユア・イリュージョン I& II 』を作るのに、4年以上かかった。 ストーン・ローゼズは『セカンド・カミング』を作るのに、5年半かかった。 両者に共通するのは、プレッシャーと誇大妄想。出世作となった前作を超える…

80年代アメリカのインディーズ・シーンについて──SSTとブラック・フラッグを中心に──

80年代初頭、ロサンゼルスを中心に、一つのシーンが生まれた。それがアメリカン・ハードコアまたは、ハードコア・パンク等と称されるシーンである。インディーレーベルSSTとそこに所属するブラック・フラッグというバンドを筆頭に、ロサンゼルスから生まれた…